確率的には「上値期待は依然健在だが、慎重にもなりつつある」といった印象
今週はFOMCを巡って一喜一憂した相場だったが、ドル円は一時24年ぶりの高値水準である135.60円付近まで上昇した。ただ、FOMCを機にその上げも一服している。
下記のドル円の確率は先週とほぼ変わらずの水準となっている。137円と131円に着目すると、来週以降6月末までに137円に一度でも到達する確率は前週の49.8%から52.7%に上昇。一方、131円の確率は38.8%から20.6%に低下している。
「上値期待は依然健在だが、慎重にもなりつつある」といった印象も感じられる。
そのFOMCだが、FRBは0.75%ポイントの大幅利上げを実施した。注目のFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)では、今年末時点の金利見通しの中央値は3.375%となっていた。政策金利の誘導目標では3.25-3.50%を意味する。年内は中立金利水準の2.25-2.50%程度までの利上げとの声も多かったが、先週の米消費者物価指数(CPI)の強さを受けて大幅に水準を引き上げた格好となった。
また、今回のドット・プロットは現在の利上げサイクルの最終形に近いものを示した印象もある。ドット・プロットの中央値だけを見ると、2022年末は上記の通りに3.375%(3.25-3.50%)、2023年末は3.625%(3.50-3.75%)、2024年末は3.375%(3.25-3.50%)となっていた。
年内に急速に金利を引き上げ、来年は0.25%の利上げを1回実施し、今回の利上げサイクルの最終点(ターミナル・レート)に到達。2024年末までには逆に利下げを想定している印象だ。
ただ、2023年末に4%以上の水準までの引き上げを見込むFOMCメンバーも相当数いたことから、年内にインフレにピークアウト感が見られなければ、0.25%ポイントで、もう1-2回利上げが追加になるといったイメージであろう。
具体的に、FOMCは年内あと4回実施される。7月、9月、11月、12月。2022年末のドット・プロットの中央値3.375%(3.25-3.50%)の水準に持って行くためには、7月が0.75%ポイント、9月が0.50%ポイント、11月が0.25%ポイント、12月が0.25%ポイントといったところが基本シナリオかもしれない。
それまでに発表される米CPIに落ち着きが出ないようであれば、11月か12月は0.50%ポイントの利上げも想定される。もちろん9月の0.75%ポイントの可能性もあるが、パウエル議長は0.75%ポイントの利上げをあまり常態化させたくない意向も示していた。
いずれにしろ、今回のFOMCは先週の米CPIをきっかけに、かなりタカ派に寄せた印象だが、現在のコモディティ相場や米雇用統計を見た限りにおいては、簡単に米CPIが落ち着きそうな気配はない。
ただ、FOMC後の市場の反応を見ると、市場はかなり織り込んでいる節も見られる。ドルの買い疲れ、株の売り疲れが出ていることは留意される。
◆来週以降6月30日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
138円:34.4%(35.1%)
137円:52.7%(49.8%)
136円:75.3%(67.6%)
135.02円(週末終値)
132円:34.5%(54.5%)
131円:20.6%(38.8%)
130円:11.2%(26.1%)
◆来週以降7月29日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
138円:59.5%(52.1%)
137円:72.1%(64.1%)
136円:85.9%(77.2%)
135.02円(週末終値)
132円:62.5%(69.7%)
131円:51.1%(57.8%)
130円:40.8%(46.7%)
※ドル円のオプション取引から算出
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。