前日のドル買い一服 明日のパウエル講演と金曜日の米雇用統計を見極めたい雰囲気=NY為替概況
きょうの為替市場は前日のドル買いが一服し、ドル円は一時137円台まで戻す動きが出ていた。前日は中国政府のゼロコロナ政策に対する抗議活動が北京や上海などの大都市にも拡大し、中国経済への警戒感が高まっていたが、中国当局が高齢者へのワクチン接種が拡大していることを明らかにしたほか、行動制限を緩めるのではとの期待も高まっている。きょうは前日のリスク回避のドル買いが一服している模様。
明日のパウエルFRB議長の講演と金曜日の米雇用統計の結果を見極めたい雰囲気も出ている。一部からは、それらのイベントは利上げサイクルが間もなくピークに達するとの市場の思惑に水を差す可能性があるとの見方も出ている。パウエル議長はタカ派トーンを堅持し、米雇用統計は好調を維持すると予想される中で、市場の認識は、ハト派的期待から遠ざかる可能性があるという。
ただ、パウエル議長の講演は、先日のFOMC後の会見とトーンは変わらずに、利上げペースを緩める可能性を示唆する一方、ターミナルレート(最終到達点)は従来予想よりも高くなる可能性に言及すると思われている。
ユーロドルは下げが一服しているものの上値は重い。買戻しの雰囲気までは出ておらず、市場は明日以降のパウエルFRB議長の講演などのイベントの結果待ちの雰囲気が強い。
市場では12月のECB理事会での利上げ幅を巡って見方が分かれている。そのような中、明日は11月分のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になり、それを占う上で市場も注目している。現時点で11月のコア指数に対する市場の予想コンセンサスは前年比4.9%となっているが、それが予想を上回り、前年比5.4%程度となれば、ECBのタカ派理事が0.75%ポイントの追加利上げを強く主張するには十分と見られている。一方、予想通りもしくは予想を下回るようであれば、インフレのペース鈍化を市場に意識させ、タカ派な見方は後退すると見られている。
なお、短期金融市場では0.50%ポイントの利上げ確率が60%、0.75%ポイントが40%となっている。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(速報)(11月)30日19:00
予想 10.4% 前回 10.6%(前年比)
予想 4.9% 前回 5.0%(コア・前年比)
予想 0.1% 前回 1.5%(前月比)
ポンドドルは一時1.20ドル台を回復する場面も見られたものの、1.19ドル台での推移。1.20ドル台に入ると戻り圧力も強まるようだ。
英インフレの高さと経済見通しの弱さを背景に、英国債利回りは逆イールドが続いており、ポンドの重石となっている。2年債と10年債利回りは逆転が続いているが、市場は英経済の見通しの悪化を織り込んでいる状況。また、投資家は英中銀がインフレ抑制するために12月に0.50%ポイント、2月にさらに0.50%ポイントの利上げを行うと予想している。
ポンドドルはドル高のほか、ポンドが英経済見通しから苦しむ中、年末にかけて下落するとの見方は依然として根強いようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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