FX/為替「米国は外交的解決を模索 中東情勢への懸念でリスク選好的な動きにはなりにくい」 外為どっとコム トゥデイ 2025年6月20日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月20日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼19日(木)の為替相場
(1):中東情勢報道 有事のドル買い
(2):豪雇用統計 やや弱い結果
(3):BOE 予想通りの据え置き
(4):トランプ大統領 金利について投稿
(5):ホワイトハウス イランとの外交の可能性
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:145円台を中心とした値動き/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(木)の為替相場
期間:19日(木)午前6時10分~20日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中東情勢報道 有事のドル買い
「米当局者は数日以内にイランに攻撃する可能性に備えている」との一部報道が伝わった。ドル/円は有事のドル買いが優勢となり上昇したが、クロス円はストレートドルの下落が重しとなり弱含んだ。
(2):豪雇用統計 やや弱い結果
豪5月新規雇用者数は市場予想(2.12万人増)を大幅に下回る0.25万人減だった。前月分は8.90万人増から8.76万人増へ下方修正された。失業率は予想通り前月から横ばいの4.1%だった。労働参加率は前月(67.1%)から低下して67.0%だった。
(3):BOE 予想通りの据え置き
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利を4.25%に据え置いた。金融政策委員会(MPC)で投票権を持つ9人のうち6人が据え置き、3名が25bp(0.25%ポイント)の利下げを支持した。またベイリーBOE総裁は「労働市場に軟化が見られ、その影響がどの程度インフレ率に波及するか注視していく」と述べた。声明では「中東での衝突激化でエネルギー価格が上昇した」と指摘した上で、今後の利下げについて「段階的かつ慎重」に行うとの文言を維持した。またベイリーBOE総裁は「政策金利は徐々に下がる道筋にとどまっている」とした上で「労働市場に軟化の兆しが見られ、その影響がどの程度インフレ率に波及するか注視していく」と述べた。
(4):トランプ大統領 金利について投稿
トランプ米大統領は自身のSNSに「『遅すぎる』ジェローム・パウエルは我が国に多大なコストを強いている」「彼は政府内で最も愚かな一人で、FRBもそれに加担している」「ユーロ圏は10回利下げしたが、我々はまだだ」「金利は2.5%引き下げられるべきだ」と投稿した。
(5):ホワイトハウス イランとの外交の可能性
米ホワイトハウスのレビット報道官は「トランプ大統領はイランとの外交はまだ選択肢だと信じている」「近い将来イランとの交渉が行われる可能性があることを踏まえ、今後2週間以内にイランを攻撃するかどうかを決定する」とのトランプ氏の声明を伝えた。
19日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:145円台を中心とした値動き
昨日のドル/円相場は終値ベースで約0.2%上昇。東京時間に「米当局者が数日以内のイランへの攻撃に備える」と一部報道で伝わったことで有事のドル買いが優勢となり、欧州時間には一時5月29日以来となる145.77円前後まで上昇した。ただ、ホワイトハウス報道官が「トランプ大統領はイラン攻撃を巡り2週間以内に対応を決定する」と語ったことでドル買いの流れは一旦収まった。中東情勢を巡り、米国側は2週間以内に外交的解決を目指しているようだが、イラン側は「イスラエルが攻撃をやめない限り、イランは交渉に復帰しない」との立場だ。このため、市場としては米国がイランに攻撃を開始する可能性を意識せざるを得ない。週末を前にリスク選好ムードは広がりにくいだろう。
ドル/円についてはリスク回避の局面ではドル買い、円買い双方が持ち込まれることが予想されるため方向感が見出しにくい。本日も145円台を中心とした動きとなりそうだ。テクニカル面では本日の終値で日足一目均衡表の雲上限(145.55円前後)を上抜けると、三役好転の買いシグナルが点灯することから注目している。
注目の経済指標:英小売売上高
注目のイベント:日銀総裁講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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