FX/為替「ドル/円、原油動向がカギ 米国のイラン攻撃で」 外為どっとコム トゥデイ 2025年6月23日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月23日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼20日(金)の為替相場
(1):日本米価格 101.7%上昇
(2):英小売売上高 大幅な落ち込み
(3):FRB理事 来月の利下げ示唆
(4):米大統領 中東情勢について語る
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:原油相場の動向がカギ/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
20日(金)の為替相場
期間:20日(金)午前6時10分~21日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本米価格 101.7%上昇
日本5月消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除いたコアベースで前年比+3.7%と市場予想(+3.6%)を上回り、直近でピークだった2023年1月以来、2年4カ月ぶりの高い伸びとなった。主因は生鮮食品以外の食料品の値上がりで、とりわけ価格の高騰が続く「コメ類」は上昇率が101.7%と過去最高を更新した。
(2):英小売売上高 大幅な落ち込み
英5月小売売上高は前月比-2.7%と予想(-0.5%)を超える大幅な落ち込みとなった。自動車燃料を除いた売上高も前月比-2.8%と大幅なマイナスを記録(予想-0.7%)。消費支出の冷え込みが示唆され、4-6月期国内総生産(GDP)が大きく減速するとの観測が浮上した。
(3):FRB理事 来月の利下げ示唆
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、「関税によるインフレはそれほど大きくならないと思う。政策決定の際にこの影響を過度に考慮すべきではない」と指摘。その上で「ここ数カ月のデータは、インフレ傾向がかなり良好であることを示している」とし、早ければ7月にも利下げを実施できる可能性があるとの見方を示した。一方で、連邦債務の借り入れコストを軽減するために利下げをすべきかとの質問に対しては「我々が議会から受けている使命は、失業と物価安定に関するものだ」として否定的な見解を示した。
(4):米大統領 中東情勢について語る
米国のトランプ大統領はイスラエルとイランの軍事衝突への介入について「彼ら(イラン)に一定の時間を与えている。2週間が限度だろう」と語った。2週間が経過した後にどのような対応を検討しているかは明言せず、米国の関与は「必要ないかもしれない」とも述べた。なお、この日は独、英、仏の外相および欧州連合(EU)の上級代表がイランのアラグチ外相とスイス・ジュネーブで会談。イスラエルとイランの交戦停止に向けた具体的な進展はなかったが、EUのカラス上級代表は「地域情勢の緊張の高まりは誰の利益にもならない。核開発をはじめさまざまな問題について協議を続けることで合意した」と述べた。イスラエル・イラン情勢に目立った改善こそなかったものの、悪化もしていないとの見方から過度な懸念が和らぐ中、円買いポジションの手仕舞いと見られる円売り優勢の展開が続いた。
20日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:原油相場の動向がカギ
20日のドル/円は約3週間ぶりに146円台へと上昇。中東情勢を巡る過度な懸念が和らいだとの見方から円売りが優勢となり、5月29日以来の146.22円前後まで上値を伸ばす展開となった。イスラエルとイランの情勢を巡り、好悪入り混じる報道が伝わる中、持ち高調整の円売り(円買いの巻き戻し)が出たと見られる。なお、米国は21日(日本時間22日)にイランの核施設3カ所を攻撃。トランプ大統領は軍事介入の決断まで「2週間以内」としていたが、その発言から僅か2日で攻撃に踏み切った格好だ。
本日のドル/円は米国の中東参戦を受けた有事のドル買いで146円台半ばへと上昇している。他方、クロス円の多くはリスク回避の円買いが先行しており、ドル買いと円買いが交錯する展開となっている。このあとのドル/円は原油相場の動向がカギとなりそうだ。中東の緊迫化を受けて原油価格の大幅な上昇が続くようならドル買い・円売り優勢の展開も継続する公算が大きい。原油価格の上昇は日本の貿易赤字拡大要因となる。一方、米国は世界最大の産油国だ。このため原油高をともなう中東リスクの高まりは、リスク回避の円買いよりも有事のドル買いを強めやすいと考えられる。ただ、トランプ大統領はイランが交渉の場に戻ることを期待しており、現時点では追加攻撃を計画していないと米メディアが報じている。原油相場の上昇が限定的ならドル/円の上値も限られるだろう。
注目の経済指標:米PMI
注目のイベント:ECB総裁講演
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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