ドル安が優勢 ドル円は21日線を再び下回る=NY為替概況
ドル安が優勢 ドル円は21日線を再び下回る=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安が優勢となる中、ドル円も143円台に一時下落した。NY時間に入って下げ渋ったものの、本日の144.50円付近に来ている21日線を再び下回る動きとなっている。
中東情勢、貿易問題などへの警戒感が後退する中、市場は再び経済のファンダメンタルズに関心を移し始めている。FRBの利下げ期待や米上院で審議中の大型減税・歳出法案に伴う米財政赤字への警戒感などが根強いドル安期待の材料となっているようだ。
いまのところ短期金融市場では、7月の利下げの可能性は小さいものの、9月は完全に織り込み、年末までに2回か3回の利下げで織り込みが進めている状況。本日も複数のFOMC委員の発言が伝わっていたが、7月利下げは早過ぎるとの見解も出ていた。一部の委員はインフレ抑制など条件次第では7月利下げの可能性に言及していたが、大半は秋以降と見ているようだ。
ユーロドルは1.17ドル台に上昇し、一時1.17ドル台半ばまで上昇。利益確定売りも出て伸び悩む動きが出ているものの、1.17ドル台は維持している状況。ユーロドルが節目の1.20ドルに向かう上で、1.17ドルは重要なポイントとの指摘も出ており、それだけに維持できるか注目となっているようだ。
本日で6日続伸しているが、これは過去1年で最長。オプション市場では上向きのシグナルがさらに強まっており、上へのブレイクに自信を深めている。月末のリバランスの資金フローがドル安方向に傾くとの予想が市場では多いようだ。
ただし、モメンタムの大部分は依然としてユーロ高ではなく、ドル安に依存している面は否めない。
ポンドドルは1.3770ドル近辺まで一時上昇し、3年半ぶりの高値水準まで上昇。専らドルの動きがポンドドルを支配しているが、英中銀の利下げに慎重姿勢もポンドを支えている。
ただ、本日はベイリー英中銀総裁が英商業会議所主催の年次会合で講演を行っていたが、4月に導入された給与税引き上げに伴い、英企業はそれへの対応として価格を引き上げるのではなく、雇用や賃金を削減することで対応している兆候が見られると述べていた。
給与税は労働者の所得を圧迫し、食品価格を押し上げているとの見解を示し、インフレのリスクは「両面がある」と警告した。雇用の正常化にはまだ時間がかかるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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