FX/為替「ドル/円、FOMCも決め手欠く 145円挟みの展開続く」 外為どっとコム トゥデイ 2025年6月19日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月19日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼18日(水)の為替相場
(1):日本貿易収支 予想を下回る
(2):英サービスCPI 伸び鈍化
(3):米経済指標 発表
(4):FOMC 予想通りの据え置き
(5):FRB議長 利下げに慎重な姿勢
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:動意欠く展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
18日(水)の為替相場
期間:18日(水)午前6時10分~19日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本貿易収支 予想を下回る
日本5月貿易収支(通関ベース)は6376億円の赤字となり、赤字額は市場予想(8965億円)を下回った。対米輸出は自動車・同部品の減少が響き、前年比-11.1%と落ち込んだ。トランプ米政権の高関税政策への対応で輸出価格が引き下げられた可能性があることがわかった。
(2):英サービスCPI 伸び鈍化
英5月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.4%と市場予想(+3.3%)を上回った(4月+3.5%)。食品やエネルギーなどを除いたコアCPIは前年比+3.5%で、予想通りに4月の+3.8%から伸びが鈍化した。英中銀(BOE)が注視するサービスCPIは前年比+4.7%と市場予想(+4.8%)を下回り、4月の+5.4%から鈍化した。
(3):米経済指標 発表
米新規失業保険申請件数は24.5万件と市場予想に一致。前週(25.0万件)からやや減少した。米5月住宅着工件数は年率換算125.6万件と市場予想(135.0万件)を下回った。
(4):FOMC 予想通りの据え置き
米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利を4.25-4.50%に据え置いた。声明では米経済の現状について「失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は堅調」「インフレ率は依然やや高止まりしている」と評価。その上で「経済見通しに関する不確実性は低下したものの、依然として高い水準にある」とした。同時に公表した経済見通しでは今年の成長率予測を1.7%から1.4%に引き下げた一方、インフレ率予測を2.7%から3.0%に引き上げた。失業率予測も4.4%から4.5%へと修正した。また、金利見通しでは、メンバーの予測中央値として前回と同様に年内2回(50bp=0.50%ポイント)の利下げが示唆された。市場では、年内の利下げ見通しが1回に引き上げられる可能性があるとの思惑がくすぶっていた。
(5):FRB議長 利下げに慎重な姿勢
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の記者会見で「関税引き上げは物価上昇につながる可能性が高い」との認識を示し、「貿易政策や財政政策の変更は依然として不透明」で「調整を行う前に、より詳細な情報が得られるまで待つのが適切だ」と述べて早期の利下げに慎重な姿勢を強調した。また、金利見通しについては「メンバーの誰もが強い確信を持っているわけではなく、全てがデータ次第という点で一致している」として、深読みしすぎないよう釘を刺した。パウエルFRB議長の会見中にドルは反発。ドル/円は145円台を回復したが、ストレートドルの下落が重しとなりクロス円の上値は重かった。なお、FOMCの前にトランプ米大統領は「バカな人物がFRBにいる。彼はきょうも利下げしないだろう」と述べて利下げに慎重なパウエル議長をあらためて批判した。この言動に対してパウエル議長は「FOMCの全員が良好で堅調な米経済を望んでいる」と述べるにとどめた。
18日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:動意欠く展開
昨日のドル/円は終値ベースで10銭あまりの小幅安だった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内2回の利下げ見通しを維持したことを受けて144.32円前後まで下落したが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、金利見通しについて深読みすべきではないとして利下げを急がない姿勢をあらためて示すと145円台を回復した。今週は日銀金融政策決定会合とFOMCが開催されたが、日米ともに当局はトランプ関税などに起因する不確実性を理由に様子見の姿勢を強めていることがわかった。金融政策は、当面ドル/円相場の売買材料にはなりにくいだろう。
足元で市場が関心を寄せる中東情勢については、イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、先行きが不透明な状況が続いている。もっとも、中東で緊張が高まればドルと円が両方買われる一方、緩和すればいずれも売られる傾向が強いことから、中東情勢もドル/円相場の決め手にはなりにくいと考えられる。本日は米国の祝日(ジューンティーンス)でNY市場が休場となることもあって、ドル/円相場は動意を欠く展開となりそうだ。
注目の経済指標:BOE政策金利
注目のイベント:ECB総裁講演
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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