ドル安が一服 ドル円は144円台後半に上昇 ただ、全体的に方向感はなし=NY為替概況
ドル安が一服 ドル円は144円台後半に上昇 ただ、全体的に方向感はなし=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安が一服し、ドル円は144円台後半に上昇した。ただ、全体的に方向感はない。米中が合意したようだ。ラトニック米商務長官は米中が先月スイスのジュネーブで合意に達した枠組みについて、最終的な理解の取りまとめに至ったと述べた。
ただ、エコノミストからは、米中は最終決定に至ったもののリスクは残っているとの指摘も出ている。「現在の米中休戦を脱線させ、緊張の再燃につながる可能性のある要因は多数ある」と指摘。米国側は、中国がレアアースに関する約束を履行した後でなければ対中制裁措置を解除しないと表明している。これにより、履行を巡る対立のリスクが逆に高まっているという。
この日は5月のPCEデータが発表になったが、FRBが注目している価格指数はコアが若干高かったももの、ほぼ予想範囲内となった。一方、個人消費支出および所得が予想外のマイナスとなっていた。個人消費や雇用への冷え込みを示す内容だった。しかし、月末・期末接近の中で、新規にポジションを作ろうという動きは少なく、調整中心の展開となっている模様。
ユーロドルは後半に伸び悩んだものの、1.17ドル水準はかろうじて維持した。一時1.1755ドル付近まで上昇。この日発表のフランスとスペインのインフレ指標が予想を上回ったこともユーロドルをサポートしていたようだ。本日は対ドルにのみならず、対ポンド、円でもユーロは上昇していた。
中東情勢の緊迫がひとまず後退し、米中が合意するなど貿易問題も懸念が後退する中、市場の関心はファンダメンタルズに戻っている。ECBはすでに利下げサイクルの終了に差し掛かっている一方、FRBや英中銀はこれから利下げ再開のムードが高まっている。その意味ではユーロは買い易い通貨となっているようだ。
ユーロドルの上昇モメンタムが改善しているとの指摘がテクニカルアナリストから出ている。日足チャートを見る限り、さらなる上昇も否定できないという。ただし、持続的な上昇には上昇チャネルの上限が来ている1.1780ドルを上抜ける必要があるという。その水準を明確に上回れば、次の注目は1.19ドル、そして、心理的節目の1.20ドルが視野に入るとも付け加えた。
ポンドドルは上げ一服。ただ、下押しする気配もなく水準は維持しており、2021年6月につけた1.40ドルの軌道にはある。ただ、市場では英中銀の8月利下げ観測が台頭しているが、エコノミストからは、この観測がさらに強まるようであれば、ポンドは下落する可能性があるとの見方も出ている。
最近のポンド高は行き過ぎている感もあり、市場が英中銀による8月の利下げ観測を強めれば、ポンドは下落しやすい状態にはあるという。英経済が第2四半期に減速したことを示唆する経済指標などが発表されれば、そうした事態は起こり得るとも述べた。短期金融市場では、8月の利下げ確率は65%で織り込まれている状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。