FX/為替「ドル/円、144円台 トランプ関税巡る期待と不安が交錯」 外為どっとコム トゥデイ 2025年6月30日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月30日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼27日(金)の為替相場
(1):米商務長官「各国との関税措置は今後1週間で多く合意予定」
(2):東京都区部CPI 伸び鈍化
(3):米個人消費 予想外に減速
(4):米大統領「カナダとの貿易協議は打ち切る」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:144円台を中心にもみ合う展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
27日(金)の為替相場
期間:27日(金)午前6時10分~28日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):米商務長官「各国との関税措置は今後1週間で多く合意予定」
米国のラトニック商務長官は、米国と中国が先月5日にスイスのジュネーブで合意に達した関税などに関する貿易枠組みの合意について、「2日前に署名され、正式に成立した」と発言。また、長官は関税措置をめぐる各国との交渉について「今後1週間ほどで多くの合意を発表する。そして協議に応じたすべての貿易相手に書簡を送り、適切に分類する」と述べた。
(2):東京都区部CPI 伸び鈍化
日本東京都区部6月消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除いたコアベースで前年比+3.1%と市場予想(+3.3%)を下回り前月(+3.6%)から伸びが鈍化した。なお、東京都区部CPIは全国CPIの先行指標と位置付けられている。
(3):米個人消費 予想外に減速
米5月個人消費支出(PCE)は前月比-0.1%と市場予想(+0.1%)に反して減少。同PCE物価指数(デフレーター)は予想通りの前年比+2.3%だったが、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+2.7%と市場予想(+2.6%)を上回った。コアPCEデフレーターは前月比でも+0.2%と予想(+0.1%)を上回った。インフレの高止まりが続く中、個人消費が予想外に減速したことを示す結果となった。なお、その後に発表された米6月ミシガン大消費者信頼感指数・確報値は60.7と速報値(60.5)から上方修正された。一方、消費者の期待インフレ率は1年先が5.0%、5-10年先が4.0%といずれも速報値(5.1%、4.1%)から下方修正された。
(4):米大統領「カナダとの貿易協議は打ち切る」
米国のトランプ大統領は、カナダがデジタルサービス税を導入したことを理由に「きわめて不当な課税に基づき、カナダとのすべての貿易協議を直ちに打ち切る。米国との取引に際してカナダが支払うことになる関税については、今後7日以内に同国に通知する」とSNSに投稿した。一方、これより前にはベッセント米財務長官が「9月1日のレイバーデーまでに貿易交渉を終えることができるだろう。現在、主要国と協議している」と述べて、7月9日に設定している上乗せ関税の発動猶予期限を再延長する可能性があることを示唆した。
27日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:144円台を中心にもみ合う展開
27日のドル/円は終値ベースで約0.2%上昇。144.18円前後で下げ渋ると144.94円前後まで持ち直して144.66円前後で取引を終えた。米経済指標は強弱ミックスの結果でドルの上値追いには繋がらなかったが、週初に148円台へと上昇したのち急落し、前日には143円台後半まで下落する場面もあっただけに、週末を控えた持ち高調整と見られるドル買い・円売りが出やすかった。
7月9日に米国による上乗せ関税の発動猶予期限が迫る中、市場の関心は米国と各国の関税交渉の行方に向かっている。ラトニック米商務長官は26日、中国との貿易協議に関する合意文書に署名したことを明らかにした上で「今後1週間で多くの合意を発表する」と述べたが、トランプ米大統領は27日にカナダとの交渉を停止すると一方的に表明。日米交渉は、赤沢経済再生担当相が前週末に渡米し7度目の協議を行ったが、双方の立場を再確認するにとどまり、具体的な成果はなかったようだ。トランプ大統領は、現地29日のテレビ番組で、7月9日の期限について延長する必要はないとの考えを示すとともに、日本との自動車貿易について「あまりに不公平だ」とあらためて不満を表明している。トランプ関税を巡る期待と不安が交錯する中、本日のドル/円は144円台を中心にもみ合う展開が見込まれる。
注目の経済指標:独CPI
注目のイベント:ECB総裁講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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