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とれんど捕物帳 気を良くしたのか米景気の先行きに楽観的な見方も!?

為替 

 今週のドル円は週後半に波乱の展開となった。今週の最大の注目はFOMCだったが、その後にドル円は109円台まで一時上昇。109円ちょうどの水準での上値抵抗が強く、売りオーダーも多数観測されていたようだが、一旦突破した格好となった。きっかけはFOMCだったのかもしれないが、その前からドル買いが優勢となっていた。全般的にはユーロやポンドといった欧州通貨が弱く、消去法的にドルが買われていた印象もある。

 21日線を上放れる展開で、リバウンド相場を加速させうな雰囲気も出たが、そうは問屋は卸してはくれなかった。トランプ大統領が突如、9月1日から一部の中国製品に10%の関税を課すと発表した。まだ関税をかけていない3000億ドル分に課すとしている。税率は25%を遥かに上回る可能性もあると述べた。市場の雰囲気はリスク回避に一変し、ドル円は106円台半ばまで失速した。

 業を煮やしたのか、交渉を有利に進めるためにジャブを放ったのかはわからないが、トランプ政権はもう一段の制裁強化に動いている。市場も米中協議は一筋縄では行かないことは薄々わかってはいるものの、進展への淡い期待感も出ていただけに失望感も強かったようだ。

 FOMCだが、大方の予想通り0.25%の利下げを打ち出した。利下げは2008年12月以来。ただ、期待ほどハト派な印象はなく、為替市場はドル高の反応を見せ、米株も失望売りが強まった。米国債も政策金利に敏感な2年債など短期ゾーンの利回りが上昇し、逆に10年債を中心とした長期ゾーンの利回りは下げ、イールドカーブはベアフラット化が急速に進んでいる。 

 パウエルFRB議長の会見は、利下げは1回だけではないと言及し、追加利下げにオープンな姿勢を示したものの、「サイクル中盤での調整」と述べるなど、あくまで今回は暫定的な予防的利下げであり、利下げサイクルに入ったのではない点を強調している。そのほか、2名のFOMCメンバーが据え置きを主張していた。

 6月FOMC以降発表になっている経済指標は強い内容が相次いでおり、今週の第2四半期の米GDP速報値も第1四半期の前期比年率換算で3.1%よりは鈍化していたものの2%台を維持している。特に第1四半期に大きく鈍化した個人消費は4.3%と力強さを堅持していた。今週発表のPCEコアデフレータはインフレが目標の2%から下方乖離している状況を示したものの、一部からは本当に利下げが必要なのかとの疑問も出る中でパウエルFRB議長の発言は至極当然であろう。

 ただ、一部からは不満の声も出ていた。その代表格はトランプ大統領で早速、「パウエル議長は我々を失望させた。市場は長期の利下げサイクルを望んでいた」と非難している。大統領も来年の大統領選に向けて是が非でも景気と株価は維持したいと必死なのであろう。

 さて、きょうは米景気の先行きについて少し触れてみたい。いまのところ市場では、来年か再来年には景気後退に陥るとの見方がコンセンサスとなっている。来年中が6割、再来年までにはほぼ確実といった見方のようだ。しかし、足元の米経済指標が意外に力強いことや、FRBが緩和に動き出したこと、そして、米株が最高値更新の動きを見せていることに気を良くしたのか、もう3年から4年ほど拡大局面が続くとの楽観的な見方も出始めている。

 今回の景気拡大局面は様々な要因が働いているという。成長を支える社会的セーフティネットの拡充や、効果的な金融規制、そして、中央銀行の慎重なアプローチ、更にはGDPにおけるサービス業のシェア拡大などを挙げている。また、リーマンショック後の成長の伸びが通常よりも緩やかで、その場合、拡大は通常より長く続くとも指摘している。利上げを促すような急激なインフレ上昇も、高齢化やITの発達により、その確率は異常に小さいという。

 景気後退の予兆を示す米国債利回りの逆イールドは3ヵ月物と10年物では示現したものの、2年物と10年物はまだ示現しておらず、3ヵ月物と10年物の逆イールドは景気後退の予兆というよりも別の問題だという。別の問題については不明だが、FRBの利下げ期待や財政赤字拡大に伴うファンディングといったテクニカル的な問題なのかもしれない。

 リーマンショックは信用破綻を引き起こしたことが主要因だったが、そのリスクも小さいとしている。もちろん皆無なわけではない。その一つがレバレッジドローン(相対的に信用力の低い借り手向け融資)だが、これらのリスクの大きさは、過去のサブプライムローンやITバブルなどよりも遥かに小さいという。ちなみに、レバレッジドローンの残高は約1兆3000億ドル(142兆円)ほどあるようだが、その約3割はCLO(ローン担保証券)の形などで日本の金融機関が保有しているようだ。一応、要注意ではある。

 米景気拡大が続くことを願うばかりだが、こればかりはもう少し先行きを確認する必要はありそうだ。 

 さて来週だが、重要イベント通過後で目ぼしい材料もない。夏本番の暑さで、気持ちが解けそうな人も少なくないかもしれないが、こういう時ほど相場は方向感が顕著に出やすいとも言える。トランプ大統領の一撃でやや動きは止まっているものの、対欧州通貨を中心にドル高が進んでおり過熱感も出始めている。ドルインデックスは2017年5月以来の高値水準まで上昇した。

 夏休みシーズンということもありドル高の調整が加速するかもしれない。ドルの調整売りにリスク回避の円高も加わって、リバウンド相場入りに失敗したドル円は下押し圧力が再び強まりそうな気配もある。一旦買戻しも入る可能性もありそうだが、21日線の108円ちょうどの水準は、今度は強いレジスタンスに変化している可能性もありそうだ。状況によっては心理的節目の105円を試す動きも想定される。レンジとしては105.00~108.00円を想定。スタンスは「やや弱気」から「弱気」に変更したい。

 なお、以前から述べているが、トランプ大統領については「常にそこにあるリスク」と心得たい。

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◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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