ドル円は変わらず107円台でのレンジ取引に終始 香港問題が再浮上=NY為替概況

今日の為替 

 きょうのNY為替市場でドル円は、これまでと変わらず107円台でのレンジ取引に終始した。東京時間に107.35円付近まで値を落としたものの、NY時間にかけてやや買い戻されている。ただ、情勢に変化は見られず、108円台を試そうという動きまでは見られていない。

 きょうも米株式市場は上げが一服。ここに来て香港問題が再浮上しているようだ。中国ではきょうから全国人民代表大会(全人代)が始まったが、李克強首相は、新型ウイルスの情報を中国が隠蔽したとするトランプ政権に反論したほか、香港で国家安全を維持するための国家安全法案を提議した。報道では5月28日に採決が行われる見通しのようだが、法案が成立すれば、香港のデモを抑制する中国政府の取り組みが大幅に強化される。

 この動きを米国がけん制しており、トランプ大統領は「香港に関して適切な時期に声明を発表する」と述べていたほか、米上院議員らが香港を巡り中国に制裁を科す法案を提出するとも伝わっている。香港を巡って米中対立が更にエスカレートするようであれば、市場もネガティブな反応が警戒される。

 きょうは日銀が臨時会合を開き、中小企業支援のため、30兆円規模の新たな資金供給策を決定した。すでに実施している社債購入などを加え、日銀の資金繰り支援策は最大75兆円規模になる。基本的には信用保証協会の保証認定を受けた融資を手掛ける金融機関が対象だが、信用保証のない中小企業向け融資の一部も対象。中小企業取引が多い系統金融機関も利用できる。今回の支援策への評価は高いようだが、事前に報道が伝わっていたこもあり、新たな材料もなかったことから、ドル円の反応は限定的だった。

 ユーロドルは戻り売りに押され1.08ドル台に下落。ドイツとフランスからの提案で5000億ユーロ規模の復興基金設立への期待から、今週のユーロドルは買い戻しが優勢となっていた。強い上値抵抗となっている1.10ドルを瞬間的に回復する場面も見られたが、結局、上昇トレンドは形成できずに伸び悩む展開となっている。21日線が1.0870ドル近辺に来ており、目先の下値サポートとして意識される。

 きょうはECBが4月理事会分の議事要旨を公表。理事らは、迅速な回復はもはやあり得ず、6月に入手できる新たな情報次第で追加措置が必要になるとの認識で一致した。ただ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)が負の連鎖に進む可能性を抑えたとの考えを示している。6月の理事会での新たな情報をもとに、必要であれば追加緩和の可能性にも言及した。次回会合は6月4日に開かれる。

 ポンドドルは下値模索が続き1.2160ドル付近まで下落する場面も見られた。ポンドについては2つの重要な重石がある。1つは英中銀で、6月に追加の量的緩和(QE)が予想されている。英中銀も否定していない。また、6月の可能性は低いかもしれないが、マイナス金利の採用も視野にあるようだ。ベスリー英中銀総裁は今週の議会証言で否定はしていなかった。

 もう1つはEUとの貿易交渉。6月末でEU離脱の移行期間延長の締め切りが迫っている。最終期限である12月まで延長するものと思われるが、それまで何らかの進展が期待されている。しかし、協議は難航しているようで、場合によっては、「合意なき離脱」のキーワードが再浮上しそうな情勢だ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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執筆者 : MINKABU PRESS

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