振幅後ドル買い、米FRBの無制限QEへの反応も限定的
振幅後ドル買い、米FRBの無制限QEへの反応も限定的
リスク警戒の動きが継続、NY終盤にドル買いの動き
【東京市場】ドル売り優勢
週明けの市場はドル売りが優勢となり109円台に。ドル高の動きに対する調整が入る格好となった。
ユーロドルなどでもドル売りの動き。
日経平均がプラス圏で終わるなど、この時間帯はリスク警戒の動きも限定的。
【ロンドン市場】ドル振幅
ドル円は110円台後半まで上昇。ドル高調整が一服し買い戻し。
ドル需要自体は継続しており、全面高基調。
米株先物の売りが目立ち、ダウ平均先物時間外はサーキットブレーカーが発動している。
【NY市場】ドル高
23日の市場は一時ドル安円高が優勢な展開となった。
米FRBが景気支援策第2弾を発表。15日の臨時会合で再開を決めた資産買い入れ(QE)について、
国債を5000億ドル、政府支援機関(GSE)保証付きMBSを2000億ドルとしていた枠を外し、
必要なだけ購入すると、事実上の無制限購入を発表。
企業や地方政府への信用フロー供給のためのプログラムも発表した。
これを受けて米株先物が大きく上昇するなどの動きを見せた。ドル需要のひっ迫感が後退するとの思惑もあり、ドル売りの動きも広がり、ドル円は110円台後半から110円割れまで値を落とす展開に。
ユーロドルが1.06台後半から1.08を付けるなど、ドルは全面安の動きとなった。
しかし、ドル円の動きはすぐに収まり、下げを打ち消す動き。米株が通常取引でマイナス圏でスタートし、その後も売りが優勢となったことなどがリスク警戒に。
NY午後にはドル買いが強まる展開。米上院で昨日に続いて緊急経済対策法案が成立せず、市場の失望感を誘うと、リスク警戒からのドル買いの動きが広がり、ドル円は111円台半ばに。
ドル円の最初の反発には同調せず、1.08台前半を付けたユーロドルが、1.07台前半まで値を落とすなどNY午後に入ってドル全面高の動きが広がった。
【本日の見通し】ドル買いの流れ継続
米FRBによる景気支援策第2弾でも米株の下げは止まらず、リスク警戒感が継続。
ここにきてリスク警戒局面ではドルキャッシュ需要が最も強い流れが続いており、
ドル全面高の動きが継続か。
ドル円は111円台を中心に上値を意識。
不安定な動きが続き、値幅が大きくなりがちで、調整局面では110円台にしっかりと落とす展開もありそうだが
流れ的には上方向か。
米株先物などの動きにも要注意。、また、ここ二日間続けて上院での可決を果たせていない米緊急経済対策法案の行方にも注目。共和党側は調整しつつも成立をあきらめる姿勢は見せておらず、両党間の調整が続く。可決されると大きな株高要因に。ドル円は株高の際にドル売りが出るケースが増えてきており、難しい判断になる。
【本日の戦略】押し目買い
不安定な展開で振幅が期待されるところ。
できるだけ押し目をじっくり待ちたい。
基本無理をせず。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/23 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 110.85 1.0695 118.60
高値 111.59 1.0828 119.94
安値 109.67 1.0636 117.73
終値 111.23 1.0726 119.31
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《3/23 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 16887.78 +334.95
DOW 18591.93 -582.05
S&P 2237.40 -67.52
Nasdaq 6860.67 -18.85
FTSE 4993.89 -196.89
DAX 8741.15 -187.80
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《3/23 月曜日の商品市場》
NY原油先物5 20月限(WTI)(終値)
1バレル=23.36(+0.73 +3.23%)
ブレント先物5 20月限(ICE)(終値)
1バレル=27.03(+0.05 +0.19%)
ブレント-WTI(6月) 1.55
NY金先物6 20月限(COMEX)(終値)
1オンス=1572.70(+84.60 +5.69%)
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《3/23 月曜日に発表された主な経済指標》
【シンガポール】
消費者物価指数(2月)14:00
結果 0.1%
予想 0.2% 前回 -0.2%(前月比)
結果 0.3%
予想 0.5% 前回 0.8%(前年比)
【香港】
消費者物価指数(2月)17:30
結果 2.2%
予想 1.4% 前回 1.4%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者信頼感指数・速報値(3月)24日0:00
結果 -11.6
予想 -13.0 前回 -6.6(ユーロ圏消費者信頼感)
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《3/23 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*トランプ米大統領
カリフォルニア州の大規模災害宣言を承認
*ブラード・セントルイス連銀総裁
米国の失業率は4-6月期に30%にまで悪化、GDPは50%減になる可能性がある。
*カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
FRBはさらなる措置を講じることが可能。
FRBが実施できることは幅広くあり、手段が尽きた状態には程遠い。
一部で社債市場への直接支援を増やすべきだとの提言があり、私も同意見。
*米FRB
新たな景気支援策発表。
米国債とMBSで必要な額だけ購入へ、終了期限を設けず。
*ムニューシン米財務長官
本日中のコロナ法案成立を目指す。
きょう上院指導者を会談する。
すべての中小企業が資金を必要としている、解雇しないように。
G7、G20指導者らはIMFや世界銀行と緊密に協力、これはチーム作業だ。
*ベイリー・マサチューセッツ州知事
新型コロナウイルス感染対策で、住民の自宅待機命令と、
食料品や薬品などの本質的なものを除いたすべてのビジネスのクローズを命じる。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
食品、薬品といった本質的なものを除いた企業活動を3カ月休業するべき。
大統領と議会は全国的なパンデミックに対応を。
3カ月という期間について、状況次第で短くも長くもなるとしている。
【ユーロ圏】
*バイトマン独連銀総裁
ドイツのリセッションは避けられない。
*独Ifo研究所
新型コロナウイルスの影響、2020年独GDPを2550億から7290億ユーロ押し下げる可能性。
経済への影響は、ここ数十年にドイツを見舞ったいかなる経済危機や天災を上回る規模になるだろう。
経済の部分的な停止状態が2カ月続いた場合、GDPの押し下げ幅は2550億から4950億ユーロ、3カ月続いた場合の影響は3540億から7290億ユーロに。
*ビルロワドガロー仏中銀総裁
新型コロナ危機対応でESM活用に支持表明。
(ウエスト・フランスとのインタビューで発言)
*ビスコ伊中銀総裁
ECBは一層の対応を行う用意。
(伊紙スタンパ)
*バスレ・スロベニア中銀総裁
われわれは状況を注視している。
もし必要であれば、追加措置の用意がある。
*コスタ・スペイン中銀総裁
新たな欧州債務危機を防ぐためにESMによる超長期の「コロナ債」発行を。
*ショルツ独財務相
仕事と健康を守るために必要なあらゆることを行う。
ドイツ政府、総額7500億ユーロの措置を承認、新型ウイルスで。
【NZ】
*NZ中銀
最大300億NZドル相当の国債を向こう1年間で買い入れる、今週開始。
*アーダーンNZ首相
24時間以内に警戒レベルを「レベル4」に引き上げ、全国的な自主隔離に移行する。
措置なしでは数万人が死亡する恐れがある、状況はさらに悪化する公算が高い。
【英国】
*英財務省
中小企業向けに500万ポンドまでの政府保証貸出を提供へ。
*英BBC政治編集者
英政府は生活必需品以外の小売店舗の閉鎖を検討。
【南ア】
*ラマポーザ大統領
3週間のロックダウン(都市閉鎖)を決定。
新型コロナウイルスの感染被害が広がっている。
感染拡大を遅らせる必要がある。
ここ数日が肝となる。
医療関係者や消防など緊急危機対応の関係者はロックダウンから除外。
食料品店、郵便、銀行はロックダウンから除外
南ア株式市場はロックダウン中も維持される。
【その他】
*IMF
G20財務相・中央銀行総裁会議を終えて世界経済の見通しを発表。
今年の世界経済について縮小を見込むとした。来年には回復を見込んでいる。
リセッション入りする国は世界金融危機以来となる。
80カ国近くがIMFの支援を必要とするだろう。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
景気一致指数・改定値(1月)14:00
予想 N/A 前回 94.7
景気先行指数・改定値(1月)14:00
予想 N/A 前回 90.3
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI・速報値(3月)17:30
予想 40.0 前回 48.0
ドイツ非製造業PMI・速報値(3月)17:30
予想 43.0 前回 52.5
ユーロ圏製造業PMI・速報値(3月)18:00
予想 39.0 前回 49.2
ユーロ圏非製造業PMI・速報値(3月)18:00
予想 40.0 前回 52.6
【香港】
生産者物価指数(第4四半期)17:30
予想 N/A 前回 1.3%(1.4%から修正)(前年比)
鉱工業生産(第4四半期)17:30
予想 N/A 前回 0.4%(前年比)
【英国】
CIPS製造業PMI・速報値(3月)18:30
予想 45.0 前回 51.7
CIPS非製造業PMI・速報値(3月)18:30
予想 45.0 前回 53.2
【ブラジル】
小売売上高(1月)21:00
予想 2.7% 前回 2.6%(前年比)
【米国】
新築住宅販売件数(2月)23:00
予想 75.0万件 前回 76.4万件
【NZ】
貿易収支(2月)25日6:45
予想 5.25億NZドル 前回 -3.40億NZドル
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員