FX/為替「ドル/円、日米財務相会談は為替水準議論なし　戻りを試す」 外為どっとコム トゥデイ 2025年5月22日号

主要通貨ペア（ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円）について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

作成日時　：2025年5月22日8時30分
執筆・監修：株式会社外為どっとコム総合研究所　調査部　中村勉

目次

▼21日（水）の為替相場
（１）：中東の地政学リスク高まる
（２）：日本貿易収支 予想外の黒字
（３）：英CPI 予想以上に加速
（４）：低調な米20年債入札

▼21日（水）の株・債券・商品市場

▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し：ドル安トレンド転換には至らない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント

21日（水）の為替相場

期間：21日（水）午前6時10分～22日（木）午前5時55分　※チャートは30分足（日本時間表示）　出所：外為どっとコム

（１）：中東の地政学リスク高まる

イスラエルがイランの核施設に攻撃を計画しているとの一部報道を受けてリスク回避の円買いが強まった。普段であれば、リスク時には米ドルも買われるが、米国を巡る複数の懸念からドルは売られた。

（２）：日本貿易収支 予想外の黒字

日本4月貿易収支（通関ベース）は1158億円の赤字（予想2153億円の黒字）だった。円高の影響で輸出額が減少したことが大きな要因で、3カ月ぶりに貿易赤字となった。

（３）：英CPI 予想以上に加速

英4月消費者物価指数（CPI）は前年比+3.5％と市場予想（+3.3％）以上に前月（+2.6％）から伸びが加速し、1年3カ月ぶりの高水準となった。 また、エネルギーや食品などを除いたコアCPIは+3.8％（予想+3.6％、前月+3.4％）、英中銀（BOE）が注目するサービスCPIは+5.4％（予想+4.8％、前月+4.7％）といずれも前月から伸びが加速した。

（４）：低調な米20年債入札

16日に米大手格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを引き下げてから初めての長期債入札が行われた。米20年債入札は落札利回りが市場実勢を上回ったほか、応札倍率も前回を下回る低調な結果となった。この結果を受けて米長期金利は上昇。金利の上昇を嫌気してダウ平均株価は下げ幅を拡大するなど、トリプル安（米債、米株、米ドル売り）となった。

21日（水）の株・債券・商品市場

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人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し：ドル安トレンド転換には至らない

昨日のドル/円は終値ベースで約0.6％下落。東京時間に中東の地政学リスクが高まり円買いが先行した。日米財務相会談で円安是正が議論される可能性への警戒感が上値を抑える中、NY時間には米財政問題への懸念から米20年債入札が不調に終わり、トリプル安（米債、米株、米ドル売り）となったことで143.28円前後まで下落した。
注目の日米財務相会談では警戒されていた円安是正について話し合われなかったようで、ドル/円は円売りが先行している。米国では本日にも税制改革法案の採決が下院で行われる。トランプ減税を巡り審議が難航しているが、可決した場合には米国の財政赤字拡大への懸念が高まることになりそうだ。またNY時間には米5月購買担当者景気指数（PMI）が発表される。中国との貿易摩擦はやや緩和したものの、トランプ関税が企業の景況感に与える影響に注目だ。ドル/円は節目となる145.00円を上抜けることが出来れば、今週高値の145.50円近辺までの戻りは期待できそうだが、財政や景気など米国の先行きに不透明感が多いことから、ドル安トレンドが転換するには至らないのではないか。

注目の経済指標：欧米PMI

注目のイベント：FRB高官発言

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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。

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