ドル円、一時145円台に上昇 市場は落ち着きを取り戻す=NY為替概況
ドル円、一時145円台に上昇 市場は落ち着きを取り戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買いが優勢となり、一時145円台に上昇する場面が見られた。トランプ大統領がEUに対する関税の引き上げを7月9日に延期すると発表したことをきっかけに、市場は先週の不安定な状況から落ち着きを取り戻している。それに伴ってドル円も買い戻しが優勢となっている状況。
トレーダーからは、一部のヘッジファンドがドル円にショートカバーを出しているとの声も出ている。急上昇していた日本国債の利回りも安定し、それに伴って米国債も安定していることから、ショートポジションを解消したようだという。ただ、ドル離れへの懸念も根強くある中、145円台に入ると売り圧力も強まるようだ。
買い戻しが出ているドル円だが、現在の最大のリスクは、米経済見通しの軟化、関税の影響、ドル離れへの期待の高まりなどが挙げられる。一方、円ロングが過剰に積み上がっており、きっかけがあればその巻き返しが出やすい状況にもある。前日の米消費者信頼感指数のような予想外に強い米経済指標などが出て、市場の雰囲気がさらに改善すれば、それが一気に出る可能性もありそうだ。
ユーロドルは戻り売りが優勢となっており、1.12ドル台に下落している。本日の21日線が1.1270ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
来週6月5日にECB理事会が予定されている。市場では0.25%ポイントの利下げ期待では一致しているものの、その後については見方が分かれている。中銀預金金利は2.00%まで低下し、ECBの中立金利のレンジ(1.75-2.25%)の中間点に到達するが、それ以降は当面休止との見方と、7月、9月も利下げを実施し、中銀預金金利を1.50%まで引き下げるとの見方が出ている。
ただ、ECBは理事会ごとのデータ依存型の対応姿勢を強調すると予想されることから、明確に次の行動を示唆することはないとも見られている。
ポンドドルも戻り売りに押されており、一時1.34ドル台半ばに下落する場面が見られた。ただ、今年に入ってからの上昇トレンドを崩しそうな動きまでは見られていない。
エコノミストは、英中銀が10月から積極的な量的引き締めを停止するとの見方を背景に、英国債利回りは今後数カ月間で緩やかに低下する可能性が高いと指摘している。さらに、英債務管理庁(DMO)が長期債の発行を減らすとの決定も、利回りの緩やかな低下を後押しするという。
英国債利回りは財政への懸念や、関税による世界経済への不安から上昇圧力に直面する可能性が指摘されている。なお、英国は直接的な関税の影響は小さい。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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