ドル円は買い戻し優勢 連休中にトランプ大統領が再び急変=NY為替概況
ドル円は買い戻し優勢 連休中にトランプ大統領が再び急変=NY為替概況
きょうのNY為替市場、リスク回避の雰囲気が後退し、ドル円は買い戻しが優勢となった。連休中にトランプ大統領の関税政策が再び急変。大統領はEUに対する関税を6月1日から50%に引き上げる方針を示していたが、それを7月9日に延期すると発表。市場は、トランプ大統領の朝令暮改に慣れてきた面もあるが、素直にポジティブな反応を見せていた。
この日発表の5月調査分の米消費者信頼感指数が予想外の大幅な改善となったこともドル円を押し上げた。一時144.45円付近まで上昇。トランプ関税の猶予期間が設定され、米中協議の進展も伝わっていたことが、米株式市場の5月の反騰を通じて、米消費者のセンチメントに大きく影響したようだ。ただ、一時的な現象との見方も出ていた。
一方、日本政府が債券市場の安定化策を検討しているとの観測がいくつか伝わった。日本の財務省が6月20日に債券市場参加者を集めた国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)と会合を開くと伝わっている。これを受けて、日本国債の超長期債利回りが低下したことも、ドル円を下支えしている模様。それに伴って米国債利回りも低下し、30年債が5%を下回っている。日本国債の利回り低下は、本邦勢の米国債への需要とそれに伴うドル資産の安定に繋がると考えられている模様。
ただ、ドル離れへの懸念は根強いことに変化はなく、145円に接近すると売りオーダーも多数観測されている模様。
ユーロドルは1.13ドル台前半に下落。ただ、主要中銀の中でECBだけが利下げ観測を強めている中、上値が重くなっている雰囲気に変化はない。
ユーロのドル代替手段の可能性が言われる中で、今後も上昇する可能性あるとの指摘がエコノミストから出ている。ユーロをドルの代替手段として機能させるというアイデアを本気で欧州の政策当局者が推進し続ける場合、投資家はユーロ高に賭ける動きを強めるという。
ラガルドECB総裁は、トランプ大統領の予測不能な政策がユーロの基軸通貨としての役割を強化する機会を生み出していると述べていた。ただ、ドルと競合するためには、ユーロは継続的なEU共同債発行のための信頼できる計画が必要なほか、欧州の政治的分断もユーロのグローバルな役割に関する野心に対する逆風として残っているとも指摘。それでも、この方向での真剣な動きはユーロを上昇させる可能性があるという。
ポンドドルは戻り売りに押され1.35ドルちょうど付近まで下落。やや過熱感も見られていた中で本日は利益確定売りが出ていたようだ。
エコノミストは、英中銀が利下げに慎重なアプローチを取っていることを考えるとポンドの最近の上昇は正当化されると述べている。先週発表された英消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことは、英中銀の利下げに対する慎重姿勢を裏付けていると指摘。
英国が米関税の影響を受けにくいことやEUとの関係強化の見通し、英経済の底堅い需要も、ポンドの上昇を正当化しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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