ダウ平均は小幅続落 ただ、2つの出来事がムード押し上げ=米国株序盤
NY株式29日(NY時間11:52)(日本時間00:52)
ダウ平均 42065.73(-32.97 -0.08%)
ナスダック 19217.36(+116.42 +0.61%)
CME日経平均先物 37920(大証終比:-490 -1.29%)
きょうのNY株式市場、ダウ平均は小幅に続落。ただ、ITには買いも見られ、ナスダックは上昇。2つの出来事が、楽観的になりつつある米株式市場のムードを更に押し上げている。米裁判所がトランプ関税を違法と判断したこと、そして前日引け後のエヌビディア<NVDA>の決算。
米国際貿易裁判所は、トランプ政権が発動した相互関税や10%の一律関税などについて、措置の根拠とした法律によって大統領の越権行為として差し止めを命じた。差し止めが命じられたのはトランプ関税のうち「IEEPA=国際緊急経済権限法」を根拠にした措置で、相互関税や10%の一律関税、それに薬物を理由とした中国やメキシコ、カナダへの追加関税が含まれる。
ただ、これについてエコノミストからは、トランプ政権には代替手段があり、遅れるかもしれないが、貿易相手国にとっては最終結果は同じとの指摘も出ている。
一方、エヌビディア<NVDA>の決算は、AIチップを扱うデータセンター部門の売上高が予想を下回るなど、これまでのような異常なほどの強さは無かった印象だが、5-7月期(第2四半期)の売上高見通しについて、対中輸出制限などによる80億ドルの売上減を反映させた割には力強いとの見方を市場はしているようだ。市場は今回の見通しを、次世代チップ「ブラックウェル」の生産拡大を示唆したものとも受け止めている。ブラックウェルに関しては、今回の決算の最注目点の1つではあった。
エヌビディアの決算を受けて、他の半導体株も上昇し、IT・ハイテク株の上昇をけん引。
セールスフォース<CRM>が下落。前日引け後に2-4月期決算(第1四半期)を発表し、AIエージェント製品の業績寄与が本格化する兆しが見えて来たとし、好調な内容ではあったものの、株価は上値の重い展開。インフォマティカ買収に関する実行リスクが指摘されている。
HP<HPQ>が決算を受け下落。1株利益が予想を下回ったほか、通期の1株利益の見通しも下方修正した。景気減速や中国からの輸入品に対する関税によるコスト増が要因。
セキュリティ・プラットフォーム開発のセンチネルワン<S>が決算を受け大幅安。年ベース経常収益(ARR)は予想を下回っている点やガイダンスも嫌気。
化粧品のelfビューティー<ELF>が大幅高。前日引け後に1-3月期決算(第4四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。同社は、ヘイリー・ビーバーの美容ブランド「ロード」を8億ドルで買収することに合意したと発表。買収後3年間のブランド成長に基づき、最大2億ドルの追加報酬が支払われる可能性も付与されている。
ソフトウエア開発を手掛けるヴィーバ・システムズ<VEEV>が決算を受け大幅高。1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、通期の見通しを上方修正している。
ライフサイエンスや応用化学分野の研究に用いる機器・ソフトウェアを手掛けるアジレント・テクノロジー<A>が決算を受け上昇。通期の売上高見通しも上方修正している。
セールスフォース<CRM> 260.40(-15.63 -5.66%)
HP<HPQ> 25.32(-1.89 -6.93%)
ヴィーバ・システムズ<VEEV> 278.47(+43.98 +18.76%)
センチネルワン<S> 17.61(-2.07 -10.50%)
elfビューティー<ELF> 114.80(+24.30 +26.85%)
アジレント<A> 114.07(+3.19 +2.88%)
アップル<AAPL> 200.08(-0.34 -0.17%)
マイクロソフト<MSFT> 458.10(+0.74 +0.16%)
アマゾン<AMZN> 205.90(+1.18 +0.58%)
アルファベットC<GOOG> 172.88(-0.50 -0.29%)
アルファベットA<GOOGL> 171.73(-0.63 -0.37%)
テスラ<TSLA> 363.90(+7.00 +1.96%)
エヌビディア<NVDA> 141.42(+6.61 +4.90%)
メタ<META> 644.24(+0.66 +0.10%)
AMD<AMD> 113.47(+0.61 +0.54%)
イーライリリー<LLY> 719.72(+0.33 +0.05%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。