FX/為替「ドル/円、関税懸念のドル売りとM&A絡みの円売りが交錯 英・米休場」 外為どっとコム トゥデイ 2025年5月26日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年5月26日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼23日(金)の為替相場
(1):日本CPI 予想を上回る伸び
(2):独1-3月期GDP 上方修正
(3):英小売 予想を大きく超える
(4):米大統領 関税に関する投稿
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感の出にくい展開が予想される/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
23日(金)の為替相場
期間:23日(金)午前6時10分~24日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本CPI 予想を上回る伸び
日本4月消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除いたコアベースで前年比+3.5%と市場予想(+3.4%)を上回る伸びとなり、前月(+3.2%)から加速した。コメ類が前年比+98.4%と過去最大の伸びとなったことなどが影響した。ただ、日銀が早期に追加利上げを行う可能性は低いとの見方から円相場の反応は限定的だった。
(2):独1-3月期GDP 上方修正
独1-3月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.4%と速報値(+0.2%)から上方修正された。
(3):英小売 予想を大きく超える
英4月小売売上高は前月比+1.2%と市場予想(+0.3%)を大幅に上回った。変動の大きい自動車燃料を除いた売上高も前月比+1.3%と予想(+0.1%)を遥かに超える伸びとなった。好天や金利低下に加え、賃金上昇も追い風になったと見られる。
(4):米大統領 関税に関する投稿
米国のトランプ大統領はSNSに「貿易において米国から搾取することを主な目的として設立された欧州連合(EU)は対応が非常に難しい」とした上で「6月1日から、EUに50%の関税を発動したい」などと投稿。また、アップルがアメリカで販売するiPhoneを国内で生産せずに輸入すれば少なくとも25%の関税を課す意向を表明した。これらを受けてリスク回避の円買いが強まった。ただ、トランプ関税が米国の景気を押し下げるとの見方からドルが下落したため、クロス円は円買い一巡後にストレートドルの上昇を支えに下げ幅を縮小した。
23日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感の出にくい展開が予想される
23日のドル/円相場は約1.0%下落。米国のトランプ大統領が欧州連合(EU)に対して6月1日から50%の関税を課す考えを表明したことで一時142.42円前後まで下値を切り下げた。トランプ関税は米国の景気を下押しするとの思惑が根強く、この日も米国株とドルが売られた。もっとも、米国債は長めのゾーンが堅調で長期金利は低下しており、パニック的な「米国売り」の動きには至らなかった。
ドルは本日も上値の重い展開が予想されるが、円も企業買収(M&A)に絡むフローへの思惑から上値が重そうだ。なお、トランプ米大統領は、日本製鉄によるUSスチールの買収を承認。日鉄は買収に際し140億ドル(約2兆円)の追加投資を行うとのことだ。本日のドル/円は売買が交錯する形で方向感が出にくい展開が見込まれる。また、本日は英国がスプリング・バンクホリデーのためロンドン市場は休場で、米国がメモリアル・デーのためNY市場も休場となる。為替取引のシェアが合計で6割近くに上る2大市場が揃って休場となることからアジア市場終了後は、ドル/円相場の動意は限られる公算が大きい。
注目の経済指標:
特になし
注目のイベント:ECB総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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