ドル円は107円台を回復 第2波への懸念もワクチン開発への期待が相殺=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前半はリスク選好の雰囲気が強まる中、ドル円は買い戻しが優勢となり107円台を回復した。本日の21日線は107.25円付近に来ているが、その水準まで戻す展開。
ドル安・円安の中、きょうは円安の動きが勝っていた模様。先週末に106円台に下落し、107円台の膠着相場から下に抜け出した感もあった。テクニカル的にも下向きの流れを強める動きではあったが、現行水準を維持できるようであれば、107.65円付近に来ている100日線の水準までの戻りの可能性は高まりそうだ。ただ、上向きの流れではなく、あくまで107円のレンジ相場に戻すかどうかだけだ。
後半になって米株に利益確定売りが強まったことで、ドル売りは一服したものの、円売りも一服しており、その後も107円台前半の水準での上下動が続いた。
感染第2波への懸念は依然として根強いものの、ワクチンや新薬の開発への期待感がそれを相殺している。先週はギリアド・サイエンシズが新型ウイルス向け治療薬「レムデシビル」の臨床試験で好結果が出たと報告したことや、きょうはファイザーとドイツのバイオNテックが共同開発している「BNT162」がFDAのファスト・トラック(優先承認審査制度)の指定を受けたとのニュースが流れていた。
一方、ユーロドルは買いが優勢となり、一時1.1370ドル近辺まで上昇。21日線でしっかりとサポートされた格好となっており、1.14ドル台を再び試しそうな気配も出ている。目先は6月に上値を止められた1.14ドルちょうど付近が意識される。後半になって米株に利益確定売りが強まったことから、ユーロドルも伸び悩んでいる。
今週は木曜日にECB理事会、金曜日にEU首脳会談を控えており、ユーロ相場は流動的になる可能性も指摘されている。ECBは政策は据え置きが濃厚だが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の今後についてラガルド総裁が何らかのヒントを示して来るか注目される。また、今回の理事会でECBは翌日のEU首脳会談に向けた2次的役割を演じるかもしれないとの指摘が聞かれる。事実上の財政ファイナンス。
EU首脳会談については復興基金が協議されるが、市場では各国指導者の交渉にやや進展が見られるとの見方もあり、比較的楽観的に見ているようだ。ただ、復興基金への最終決定は出ないと見られている。
ポンドドルは上値の重い展開。ロンドン時間の早朝には1.2665ドル付近まで上昇していたものの、NY時間の午後に入って1.25ドル台に下落。
先週の米先物取引委員会(CFTC)の建玉レポートで、ポンドの売り残が減少していたが、6月以降、ポンドショートは減少傾向にあるものの、依然として売り越しは続いており、ポンドの下値リスクは高いと見ているようだ。要因として「EUとの貿易交渉の不確実性」、「新型ウイルス感染における死亡率の高さ」、そして「政府の危機対応に対する批判」などが挙げられているようだ。ただ、ジョンソン政権による財政刺激策と、段階的な経済再開は支えとなっているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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