FX/為替「ドル/円大幅反落 米中貿易摩擦激化懸念が上値を抑える」 外為どっとコム トゥデイ 2025年4月11日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年4月11日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼10日(木)の為替相場
(1):中国予定通り対米関税発動
(2):米CPI予想以上に低下
(3):対中関税は145%へ
(4):米財政赤字が減少
(5):ボストン連銀総裁「利下げが遅れる可能性」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:リスク回避の動きに傾きやすい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(木)の為替相場
期間:10日(木)午前6時10分~11日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国予定通り対米関税発動
中国は前日に通告していた通り米国からの輸入品に対して84%の関税を発動した。
(2):米CPI予想以上に低下
米3月消費者物価指数(CPI)は前月比-0.1%、前年比+2.4%とともに市場予想(+0.1%、+2.5%)を下回った。前月比が下落に転じるのは2020年5月以来約5年ぶり。また価格変動の大きい生鮮食品やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.1%、前年比+2.8%となり、予想(+0.3%、+3.0%)を下回った。前年比は2021年3月以来の低水準だった。ただ、トランプ米政権の関税政策が米国のインフレを押し上げるとの懸念は強く、影響は限定的だった。同時に発表された米新規失業保険申請件数は市場予想通り22.3万件となり、前月(21.9万件)から増加した。
(3):対中関税は145%へ
米CNBCは米国の中国への最新の関税は145%になるとホワイトハウス高官の話として報じた。ホワイトハウスは前日に中国への上乗せ関税を125%に変更していたが、合成麻薬フェンタニルの流入を問題とした20%の関税が追加されたもので、「新たな政策転換ではない」と伝わった。
(4):米財政赤字が減少
米3月財政収支は1605億ドルの赤字となった。関税歳入が87.5億ドルと2022年9月以来の最高額となったことで、財政赤字は前月の3070億ドルから大幅に減少した。
(5):ボストン連銀総裁「利下げが遅れる可能性」
ボストン連銀のコリンズ総裁は「年後半の利下げが適切かもしれない」との見解を示した。また「関税による価格上昇により利下げが遅れる可能性もある」とも語った。
10日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:リスク回避の動きに傾きやすい
昨日のドル/円は約2.1%下落。終値は前日から約3円10銭安の144.60円前後で取引を終えた。東京時間から前日の大幅上昇に対する反動で円の買戻しが優勢となった。また、中国が米国に対して84%の報復関税を発動するなど、米中貿易摩擦激化への懸念が根強く、NY時間にはドル安、米株安、米債安のトリプル安となった。
米国は中国への関税率を145%に修正するなど、米中貿易摩擦は悪化の一途をたどっている。関税合戦は世界の2大経済大国である両国の景気を押し下げ、それが世界経済の鈍化につながるとの見方が根強い。米中貿易摩擦が好転しない限りは市場がリスク回避の動きに傾きやすい状況は続きそうだ。ドル/円は2日連続で144.00円付近で下値を支えられたが、ここを下抜けた場合には143円前後までの下押しも考えられる。
注目の経済指標:米PPI
注目のイベント:ECB総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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