ドル円は143円を挟んで上下動 円高期待が根強い=NY為替概況
ドル円は143円を挟んで上下動 円高期待が根強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は143円を挟んで上下動する展開。前日はトランプ関税の緩和措置への期待が高まったことで、市場の雰囲気が改善し、ドル円も買い戻しが見られていた。しかし、上値は依然重く145円台回復を試そうという雰囲気まではない。
本日のドルは下げが一服していたものの、円高の動きがドル円を圧迫している模様。一連の関税騒動で日銀の利上げ期待が後退しており、短期金融市場では年内の利下げの確率を約60%と想定している。1カ月前は確実視されていた。
それでも、トランプ大統領絡みのヘッドラインリスクが引き続き市場を支配する中、円の魅力が高まっているとの指摘が出ており、ファンド勢も円ロングを積み増しているようだ。本日もEUと米国との貿易交渉にほとんど進展が見られないと伝わり、リスク回避の円高が見られていた。
ユーロドルは戻り売りに押され、1.12ドル台に値を落とした。ただ、ユーロドルは買われ過ぎ感も出ており、調整の動きとも言え、上昇トレンドに変化はない。
今週はECB理事会が予定されており、市場は利下げを確実視している。ただ、アナリストは、インフレ見通しが不透明な中、ECBは今後、利下げに慎重を要すると見ていると指摘している。今週の理事会は利下げが見込まれるが、ECBは貿易と地政学的不確実性の高まりの中で、今後の慎重姿勢を打ち出す可能性も高いという。
ただ、ドイツの財政刺激策による景気浮揚効果が出る前に、トランプ関税による需要と成長への打撃が顕在化するため、今回の利下げ後もさらに2回の利下げがあり、中銀預金金利は1.75%まで引き下げられると予想しているとも述べている。
ポンドドルは本日も上値追いを継続し、一時1.3250ドル付近まで上昇。上値抵抗も観測されていた1.32ドルの水準を突破しており、勢いに弾みがついている。目先は1.32ドル台を固めることができるか注目される。
ただ、最近のポンドドルの上昇は長続きしないとの見方が出ている。今月ポンドは2.5%上昇したが、これはトランプ関税が原因で、ドル全体の低迷を反映しているに過ぎず、ポンド自体の強さというよりも、ドル安を反映しているという。
実際、ポンドはG10の6通貨に対して下落しており、上昇しているのは3通貨のみだと述べている。英経済が好調で市場のムードがリスク志向である場合、通常であればポンドは上昇する。しかし、今月はそうはなってはいない。むしろ、パンデミックの初期段階と同じように、ユーロに対して価値を失っていると指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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