ドル円、一時144円台を回復 警戒感が一服 ボストン連銀総裁の発言に反応も=NY為替概況
ドル円、一時144円台を回復 警戒感が一服 ボストン連銀総裁の発言に反応も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが優勢となり、一時144円台を回復し、本日の下げの大半を取り戻す展開も見られていた。貿易戦争への懸念は依然として継続しており、投資家の警戒感も強い。ただ、週末ということもあり、本日はひとまず警戒感が一服していた印象。
午後になってコリンズ・ボストン連銀総裁の発言をきっかけに、米株式市場とともにドル円も上げを加速させていた。総裁は「金融市場が混乱状態に陥った場合、FRBは間違いなく安定化を支援する準備がある」とインタビューで述べていた。市場ではトランプ大統領の保護主義政策で、投資家の米国離れが指摘されており、特に米国債やドルが不安定な動きをしている。
ドル円は下げ過ぎ感も高まっている中、本日は買い戻しが活発化していたようだ。今週の動きでショートを形成した投資家も多いと思われるが、土日に何があるかわからないので、ポジションを軽くしておきたい意向もあったと思われる。日曜日にEUの貿易担当委員がワシントンを訪問し、月曜日に米当局者と協議を行う予定とも伝わっている。
しかし、本日のドル円は一時142円台前半まで下げ幅を拡大させ、昨年9月以来の安値水準に下落していた。ドルへの信頼感が揺らぐ中、下値サポートとなっていた144円をあっさりと割り込み、目先は心理的節目の140円と昨年9月安値の139.60円を視野に入れそうな気配は出ている。
ユーロドルはNY時間に入って伸び悩んだものの、一時1.14ドル台半ばまで上昇し、2022年2月以来の高値水準に上昇していた。ユーロは対ドルのみならず、対ポンドでも上昇を鮮明にしている。
ECBの追加利下げへの期待は根強いものの、いまの為替市場の焦点は金利動向にはなく、トランプ大統領の保護主義に端を発したドル離れにありそうだ。その意味ではドルに代わり得る通貨と言えば、準備通貨で第2位のユーロが有力ということになる。ドイツのクキース財務相はトランプ大統領の貿易政策は世界貿易におけるユーロの影響力を高める好機だと主張していた。同財務相は、ユーロの役割を強化するために、インドネシアやマレーシアなどの国々との自由貿易協定の協議を加速させることを提案している。
世界の外貨準備における現在のドルの割合は6割程度で、続いてユーロが2割程度となっている。ドルが1位の座から陥落することは無いと思われるが、今回の騒動をきっかけに、その割合には変化が出る可能性は皆無ではなさそうだ。
ポンドドルはNY時間に入って1.30ドル台に伸び悩む展開。ただ、ドル安の動きが続いている中、ロンドン時間には一時1.31ドル台半ばまで上昇し、4日続伸となっている。目先は4月3日の直近高値1.32ドルが上値メドとして意識される。
本日は2月の英月次GDPが発表になり、前月比0.5%のプラス成長と予想外に強い内容となった。これを受けてエコノミストからは、英経済は第1四半期に前期比0.6%の大幅な成長を遂げる可能性が指摘されている。ただし、トランプ関税による英国の貿易赤字拡大と不確実性の高まりにより、現在の成長ペースが持続する可能性は低いとも見ている。
英中銀にとって今回の数字は、より迅速な緩和を検討する必要性を当面は低減させる。英中銀は四半期ごとに金利を引き下げ、次回は5月に0.25%ポイントの引き下げを行うと予想しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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