明日の米CPIを控え、ドル円は上値追いが加速=NY為替概況
明日の米CPIを控え、ドル円は上値追いが加速=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買いが強まり、145円台後半まで上昇した。明日の12月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、全体的には様子見気分が広がる中で、ドル円は上値追いの動きが加速した。市場は3月利下げ開始の可能性をまだ排除できない中で、明日の米CPIは総合インフレの鈍化が一服すると見られている。
これまでインフレ鈍化の主因となっていたガソリン価格が12月は小幅に上昇していたことが要因。一方、財価格のデフレは引き続きインフレを圧迫すると予想されているが、企業が在庫削減に成功すれば、このディスインフレ要因も今後数カ月で弱まると見られている。最終的には、住宅インフレのペースが鈍化しても、コアインフレは年内はFRBの目標である2%を上回る水準で推移すると見られているようだ。
円安もドル円を押し上げていたようだ。東京時間に11月の毎月勤労統計が発表になっていたが、現金給与総額が前年比0.2%増と予想を大きく下回っていた。能登半島地震への救済支援もあって、少なくとも今月の日銀決定会合ではマイナス金利の解除は無さそうだ。
一部からは、明日の米CPIで再びインフレの加速が確認されれば、ドル円は150円を再び目指す流れになる可能性も指摘されている。
きょうもユーロドルは1.09ドル台の狭い範囲での推移が続いている。明日の米消費者物価指数(CPI)までは、ユーロドルはレンジから脱することはできないとも見られているようだ。21日線の下での推移が続いているものの、下押す動きまでは見られていない。
きょうはシュナーベルECB専務理事の発言が伝わっていたが、利下げの議論は時期尚早との見解を繰り返し言及していた。この発言を受けて短期金融市場ではECBの利下げ期待がやや後退している。前日までは年内6回の利下げが織り込まれていたが、現在は5回に縮小している。
なお、欧州の債券発行額が今週に入り1080億ユーロ超と過去最高になっている。利下げ観測が背景にあり、需要も旺盛なようで、発行額は150億ユーロのスペイン10年債に1370億ユーロ超の注文が入り、過去最高の注文となっていた。
きょうのポンドドルは買い戻しが優勢となっており、1.27ドル台半ばに上昇している。本日の21日線が1.27ドルちょうど付近に来ており、その水準はサポートされている。
この日はベイリー英中銀総裁や複数の英中銀委員の議会証言が行われていたが、利下げ可能性についての直接的なコメントは伝わっていなかった。「失業率の急上昇を見ておらず、家計所得はここ数カ月増加しており、これらの要因が金利上昇の影響を緩和している」と述べるに留まった。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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