広告を非表示にする
ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

とれんど捕物帳 感染第2波拡大の割には市場はなぜ楽観的?

為替 

 米国での感染第2波は一向に収束する気配を見せず、加えて米中対立がエスカレートして来ている。市場もそれなりの警戒感を示すものの、依然として先行きに楽観的だ。ワクチン開発や追加刺激策の高まりが市場をサポートしている。

 今週から米企業決算が本格化しており、良し悪しまちまちといった雰囲気だが、少なくとも概ねネガティブな反応は見せていない。米株式市場もIT・ハイテク株中心にポジション調整の動きが一部に見られるものの、概ね底堅く推移している。

 感染第2波は拡大しており、経済の先行きに警鐘を鳴らす動きも多々見られるものの、なぜ、市場は楽観的なのであろうか。一部には実際の致死率にあるとの指摘も聞かれる。パンデミックが始まってから半年、十数件の主要研究機関がその調査を行っているようだ。感染が報告された人の致死率はやはり高いようで、米国のジョンズ・ホプキンス大学のデータから素直に算出すれば、全体の4%超に及ぶ。

 ただ、本当に解明したいのは未報告も含めた感染者全体の致死率であろう。症状が出ない、もしくは、検査を受けていない感染者も多く、数値を割り出すのは極めて困難なようだが、大半の研究機関は概ね0.5~1.0%、感染者1000人当たり平均5~10人が死亡に至っているのではとの推計値を出しているようだ。英ロンドン大学の研究では、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染と中国のデータを調べた結果、致死率を約0.6%と算出。世界各地の感染致死率を推計した26の研究を分析した結果、推定致死率は総じて約0.68%との報告もあるようだ。

 数値だけからは、季節性インフルエンザより致死率が高いものの、エボラ出血熱などの感染症ほどではないという。ただし、感染力が強いことから、致死率の高い疾病よりも死者数は多くなるとも指摘されている。

 これらをどう見るかだが、致死率という点からいえば、市場が楽観的になってもおかしくはないのかもしれない。しかし、死にたくないのはもちろんだが、感染もしたくはないはず。過度に神経質になる必要はなのかもしれないが、感染力の強さを考慮すれば、経済活動は新薬やワクチンが開発されるまでは、しばらく、一定の制限がかかることは留意される。

 そのワクチンだが、開発レースが本格化して来ている。まだ、臨床試験もフェーズ1の初期段階ではあるが、現段階での市場の期待感を見ると、「ファイザー/独バイオNテック」と「オックスフォード大/アストラゼネカ」、そして、「モデルナ」の3チームが先頭集団を形成しつつあるようだ。もちろん、ノババックスなどもまだまだ先頭をうかがう雰囲気で、一進一退のレースを繰り広げている。現段階では、それらの中でも「ファイザー/独バイオNテック」チームが体半分抜け出している印象だ。もっとも、株式市場だけの判断ではあるが。

 理想のマイルストーンとしては、夏場に第2フェーズ、秋以降に第3フェーズを経て、年内に早期承認。来年初めにキックオフといった段取りであろう。各国政府もそれらのチームに対して、購入予約を活発に入れている状況だ。なお、新薬についてはまだまだ先の話のようだ。

 さて来週だが、ドル円は週末に売りが強まり105円台に下落した。来週は心理的節目の105円を試す展開になるか警戒される動きではある。今週発表の米新規失業保険申請件数は予想外の増加を示していた。米国での感染第2波も拡大が続いており、それに加えて米中対立も激化してきている。為替市場はドル売りの流れが加速しているが、これまでは上記の通り、感染第2波の拡大に対して楽観的で、リスク選好のドル売りだった。ただ、今週末の市場の雰囲気を見ると、次第に米経済の先行き不安によるドル売りに変化しそうな気配も見せている。

 ただ、そろそろ夏休みシーズンで、夏枯れ相場も意識される中、ドル売りが過熱気味になっていることも確か。何らかの調整が入る可能性は留意したい。月末を控えていることもあり、そろそろドル売りに一服感が出てもおかしくはない状況ではある。流れが、米経済の先行き不安によるドル売りに変化しなければ、ドルの買い戻しも期待したいところ。

 イベントはFOMCや欧米のGDP速報値が発表になる。注目は第2四半期のGDP速報値であろう。経済封鎖もあって最悪の数字が見込まれており、米GDPは前期比年率換算でマイナス34%が見込まれている。ただ、第2四半期に関しては市場も既に覚悟しており、むしろ、第2四半期のデータから、第3四半期以降のヒントを何か見出せるかであろう。もし、ネガティブな雰囲気が広がるようであれば、ドル円は大きな心理的節目の105円割れも警戒される。

 なお、今回のFOMCは政策変更はないことが確実視され、現政策の点検が中心となろう。先行きに対するガイダンスに関しても特に変更はないものと見られる。ゼロ金利解除の条件を議論するとも見られているようだが、ワクチン次第の面が大きく、時期尚早であることは意識される。

 ドル円の想定レンジとしては、105.00~107.50を想定。スタンスは現段階では「中立」を継続したい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回の配信は8月8日(土)の午前を予定しています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

為替ニュース/コラム

一覧を見る

注目ニュース

新着ニュース

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

主要通貨レート

関連ETF

直近24時間の重要経済指標

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます