ドル円、一時142.35円付近まで下落 リスク回避の雰囲気が再び広がる=NY為替概況
ドル円、一時142.35円付近まで下落 リスク回避の雰囲気が再び広がる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、リスク回避の雰囲気が再び広がっており、為替市場はドル安が優勢となった。ドル円も一時142.35円付近まで下落。ドル円は本日の下げで再び21日線を下放れる展開が見られているほか、フォボナッチ50%戻しの水準が142.90円付近に来ており、その水準に早期に戻せないようであれば、61.8%戻しの142.20円が目先の下値メドとして意識される。
市場ではトランプ関税に対する不透明感が依然として根強いが、ドルは長期的に下落する可能性がストラテジストから指摘されている。米政策の不透明感が要因だという。トランプ大統領の政策がチェック・アンド・バランスなしに策定されているように見え、そのためドルは長期的に下落する可能性が高いと指摘。FRBの独立性に対する暗黙の脅威もドル安要因の1つだと述べている。トランプ大統領が日曜日に言及した海外で製作された映画に対する100%の関税の計画は、関税が依然脅威であることを示しているという。
さらに、米財政政策の拡張的姿勢を踏まえると、米国債が売られ、利回りが上昇するリスクは依然浮上しているとも言及。その上で、先週までのドルの回復は一時的なものに留まると予想しているという。
ユーロドルは底堅い展開を継続し、1.13ドル台後半まで上昇。本日はアジア時間に一時1.1280ドル近辺まで下落し、21日線を下回っていたが、ロンドン、NYと買い戻しが優勢となり、21日線の水準をしっかりと維持している。上値は重くなっているものの、上昇トレンドは継続しているようだ。
本日はドイツのメルツ氏が新首相に承認された。ドイツ連邦議会が2回目の投票で承認。1回目は過半数に届かず、市場も不安視していたが、承認されたことで安心感につながったようだ。ユーロの上げをサポート。
アナリストからは「新政権が100日計画を迅速に実施すれば、首相選出に2度の投票が必要だったことは、すぐに消え去るだろう」とのコメントも聞かれた。2回の投票は戦後ドイツで初めて。メルツ新首相は100日間でドイツ経済の立て直しを目指す「100日計画」を掲げている。経済の停滞を打破するため、約1兆ユーロ規模の財政出動を計画。防衛費に約4000億ユーロ、インフラおよび気候変動対策に約5000億ユーロを充てる。ウクライナへの軍事支援も継続。
ポンドドルも買いが優勢となった。本日の21日線は1.3235ドル付近に来ていたが、その上の水準をしっかりと堅持しており、今年に入ってからの上昇トレンドを維持している。
今週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が8日木曜日に開催され、ポンドにとっては最注目となる。0.25%ポイントの利下げが確実視されており、市場もそれを織り込んでいる。注目は今後だが、英中銀が市場の利下げ期待が過剰だと示唆した場合、ポンドは上昇の反応を示す可能性があるとの指摘がエコノミストから出ている。
市場は年内に、今週を含めて計0.90%ポイントの利下げを織り込んでいる。ただ、英中銀がこれらの期待に応えるのは困難と思われ、選択肢は維持したいと考える可能性があるという。さらに、労働党政権下での英国とEUの関係緊密化と、英国のトランプ関税の比較的低いエクスポージャーも、ポンドの支援材料となる見込みだとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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