FX/為替「ドル/円、日米ともに金融政策は材料になりにくい」 外為どっとコム トゥデイ 2025年6月18日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月18日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼17日(火)の為替相場
(1):日銀 予想通りの据え置き
(2):日銀総裁 追加利上げに慎重な姿勢
(3):独ZEW「景気停滞に終止符」
(4):米経済指標発表
(5):米大統領 中東情勢についてSNS投稿
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:神経質な値動き続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
17日(火)の為替相場
期間:17日(火)午前6時10分~18日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀 予想通りの据え置き
日銀は予想通りに政策金利を0.50%に据え置いた。また、2026年4月以降の国債買い入れの減額について、こちらも市場予想通りに現在の毎四半期4000億円から2000億円にペースダウンすることを決定した。日銀の決定を受けて国債に出尽くし売りが入り長期金利が上昇する中、やや円買いが優勢となった。
(2):日銀総裁 追加利上げに慎重な姿勢
日銀の植田総裁は会見で、国債買い入れの減額ペースダウンについて「将来の国債市場の不安定さを未然に防ぐための措置だ」と説明。物価に対する中東情勢の影響については「食料品価格に加え、原油高も起こり得る。こうした状況が長引くのかどうかを注意深く見ていきたい」と警戒感を示した。また、米関税政策による金融政策への影響について「通商交渉を見守るしかないが、後ずれするほど、経済の不確実性も続くことになる」と述べるなど、大方の予想通りに追加利上げに対する慎重な姿勢を示した。
(3):独ZEW「景気停滞に終止符」
独6月ZEW景気期待指数は47.5と市場予想(35.0)を上回り、前月(25.2)から大幅に上昇した。ZEW(欧州経済センター)は、ドイツ政府の財政政策と欧州中銀(ECB)の利下げによって「ほぼ3年に渡るドイツの景気停滞に終止符が打たれる可能性がある」との見解を示した。
(4):米経済指標発表
米5月小売売上高は前月比-0.9%と市場予想(-0.6%)を下回る大幅な落ち込みとなった。変動の大きい自動車を除いた売上高も前月比-0.3%と予想(+0.2%)に反して減少した。ただ、国内総生産(GDP)の算出に使われるコア売上高(自動車、ガソリン、建材、外食を除く)は前月比+0.4%と予想(+0.3%)以上の伸びとなった。ドルは一旦売りに傾いたが、すぐに反発した。その後に発表された米5月鉱工業生産は前月比-0.2%と市場予想(±0.0%)を下回った。
(5):米大統領 中東情勢についてSNS投稿
トランプ米大統領は自身のSNSでイランに対し「我々の忍耐は限界に近づいている」と警告。続けて「無条件降伏!」と投稿した。また、この日トランプ大統領は、ホワイトハウスで国家安全保障会議(NSC)の会合を開き、中東情勢を巡り協議。協議の詳細は明らかにされなかったが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ大統領がシチュエーションルーム(作戦指令室)で上級顧問らと会い、イランに対する米国の攻撃を含む複数の選択肢を検討したと報じた。米国の中東への軍事介入を巡る懸念を背景に米国株が下げ幅を拡大。為替市場では有事を警戒したドル買いが次第に優勢となり、ドル/円は強含んだが、クロス円はストレートドルの下落を受けて弱含んだ。
17日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:神経質な値動き続く
昨日のドル/円は終値ベースで約0.4%上昇。イスラエルとイランの軍事衝突に米国が直接的に介入する準備を進めているとの観測が浮上する中、ドル買いが優勢となった。米5月小売売上高が予想以上に落ち込んだことを受けて144.35円前後へと弱含む場面もあったが、有事(警戒)のドル買いで145.38円前後まで反発した。なお、日銀は昨日、政策金利の据え置きを決定。植田総裁は米国の関税政策を巡る不確実性から、経済と物価は「下振れリスクの方が大きい」として利上げに慎重な姿勢を示した。
本日は米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を発表する。政策金利を据え置いた上で早期の利下げには慎重な姿勢を維持する公算が大きい。日銀と政策の方向性は逆だが、トランプ関税の影響が見通せないのはFOMCも同じで、様子見の姿勢を強調せざるを得ないのも同様だろう。FOMCではメンバーの政策金利見通しを示すドットチャートやパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見に注目は集まるが、市場への影響としては、こちらも昨日の日銀と同様に限定的となりそうだ。日米ともに金融政策はドル/円の売買材料にはなりにくいと見られ、本日も中東情勢やトランプ関税を巡って神経質な値動きが続くだろう。
注目の経済指標:FOMC
注目のイベント:FRB議長講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。