米雇用統計を受けてドル買い強まる ドル円は一時157円台に上昇=NY為替概況
米雇用統計を受けてドル買い強まる ドル円は一時157円台に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日の米雇用統計を受けてドル買いが強まり、ドル円は一時157円台に上昇する場面が見られた。ただ、以前のような力強さはなく、上値に慎重になっているのか、買いが一巡すると伸び悩む展開も見られていた。ただ、本日の上昇で21日線の上を回復している。
5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が27.2万人増と予想を大きく上回る増加を示した一方、失業率は4.0%に悪化し、強弱まちまちな内容ではあった。ただ、平均時給は前月比0.4%、前年比で4.1%上昇し、いずれも前回を上回っていた。インフレの粘り強さを示唆する内容ではある。
これを受けて市場は、FRBの年内利下げ期待を再度後退させており、9月の利下げはほぼ無いとの見方に変化しているほか、年内も12月の1回に留まるとの見方を織り込み始めている。
来週はFOMCが予定され、今回は委員の金利見通し(ドット・プロット)が公表される。FOMCの結果発表当日の朝に5月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、その数字次第の面もあるが、年末までの利下げ予想の中央値を3月時点の3回から1回に下方修正してくるのではとも見られているようだ。
ユーロドルは戻り売りが強まり、1.08ドルちょうど付近に下落。きょうの下げで21日線を下回り、1.08ドルちょうど付近に来ている100日線に一気に接近した。
ECBが前日に利下げを開始。大方の予想通りでもあり、ECBは追加利下げに慎重姿勢を示したこともあって、ユーロ買いの反応は限定的だった。ラガルド総裁のインタビューが伝わっていたが、追加利下げには慎重姿勢を滲ませていた。
本日はビルロワドガロー仏中銀総裁の発言も伝わっていたが、ユーロ圏経済はソフトランディングの最中にあり、今回の利下げはECBの自信の表れだと述べていた。インフレは来年までに目標の2%へと低下し、フランスでは恐らくもう少し早く低下するという。賃金圧力は依然強く、従業員1人当たりの賃金は着実に上昇しているものの、全体的な単位労働コストは鈍化しているという。
ポンドドルも急速に売りが強まり、1.27ドル台前半に下落。本日の21日線が1.2710ドル付近に来ているが、その水準をうかがう動き。
今週はポンド自体の材料は少なく、ドルがポンドドルの動きを主導している。ただ、来週は英雇用統計や月次GDPなどの材料が目白押しで、英中銀の利下げ期待に何らかのヒントを与えてくれる可能性もありそうだ。短期金融市場ではいまのところ、8月までの利下げの可能性は40%程度、9月までなら65%程度、11月までなら完全に織り込みといった状況となっている。
きょうはハリファックスが英住宅価格指数を公表していたが、5月の平均価格は前月比で僅かに下落した。ただ、前年比では1.5%の上昇と4月の1.1%から6カ月連続で拡大している。賃金上昇と限られた住宅供給が住宅価格を下支えしており、住宅問題は総選挙の争点の1つとなっている。与野党は住宅所有者だけでなく、初めて住宅を購入する人や引っ越しをする人に何らかのアピールを行うかもしれない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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