ドル円は一時130円台半ばまで急落 上昇トレンドに大きな転換が訪れたとの声も=NY為替前半
きょうのドル円はNY時間に入っても売りが続いており、一時130円台半ばまで下落している。きょうは日銀がイールドカーブコントロール(YCC)政策の下での10年債利回りの許容変動幅を上下0.25%から0.50%に拡大し、事実上のサプライズ利上げとなった格好。
きょうの決定会合での緩和政策修正は全く予想されていなかったことから、2016年1月にマイナス金利導入を決めて以来、間違いなく市場にとって最大のサプライズだったとの声も出ている。黒田総裁は会見で、利上げでもなく政策変更でもないと述べていたものの、市場はそれをやり過ごし、円は全面高となっている。
市場からは、「今後、日本の企業や投資家からの自国へのレパトリ(資金回帰)の動きが例え緩やかだったとしても、来年の日銀の更なるタカ派措置に備え、今後数週間は円は買われる可能性がある」との声も出ている。
きょうのドル円は動きが落ち着いても買い戻される気配がない。クリスマス休暇で動意薄となっている面もありそうだが、本日の日銀をきっかけに昨年から続いていた上昇トレンドに大きな転換が訪れたとの声も聞かれる。ともあれ、目先は130円割れを試す可能性が高まっているようだ。
きょうは円相場に翻弄される中、ユーロドルは1.06ドル台での上下動に終始している。次第に市場はクリスマスムードに入る中、ユーロドルも方向感が無くなって来ているようだ。
ECBは先週の理事会で、市場の予想以上にタカ派姿勢を堅持し、引き締めの長期化も示唆した。次回2月、3月も0.50%ポイントの利上げが見込まれている状況。ただ市場からは、ECBのタカ派姿勢はユーロを下支えしないとの声も出ている。ECBの政策と実体経済への影響には時間差があり、その分、ユーロ圏経済への重石が大きくなるという。ユーロ圏の成長予想は23年に0.5%、24年に1.5%を見込んでいるようで、両年とも従来予想から0.3%ポイント下方修正したとしている。
ECBは来年に少なくとも4回の利上げを行い、6月までに中銀預金金利を3.50%まで引き上げると予想している。半面、24年にはECBは予想以上に積極利下げに動く可能性が高いと見ており、25年にはユーロ圏経済は活気づく可能性が高いという。
ポンドドルは1.21ドル台での上下動に終始している。次第に市場はクリスマスムードに入る中、ポンドドルも方向感が無くなっているようだ。
英中銀は先週末に量的引締め(QT)プログラムの下で保有した英国債の売却の概要と来年第1四半期の運用方針を公表していた。第1四半期は、短期、中期、長期の国債をそれぞれ6.5億ポンドずつ5回に分けて入札し、各ターム計32.5億ポンドずつ、総計97.5億ポンドを売却するとしている。
これに対して市場からは、第1四半期に予定している売却規模が予想を下回っており、英中銀はあえて慎重なアプローチを取ったとの指摘も出ている。英中銀は資産購入プロフラム(APP)に伴って保有した分と緊急購入に伴って保有した分の売却を合わせて考え、より慎重なアプローチを選んだと考えられるという。また、第1四半期の売却額の少なさを補うために、第2四半期以降は売却額を増やすことが予想されるとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。