為替相場まとめ2月24日から2月28日の週
24日からの週は、全般的にリスク警戒感が広がった。先週末から週前半にかけては一連の米経済指標が弱含んだことが米経済先行きに対する不透明感を広げた。やや米利下げ観測が高まり、ドル売りの動きがみられた。週明けにユーロ買いが広がる場面があった。先週末の独連邦議会選挙で中道左派、気極右政党が現行政権の中道左派に勝利した。行き詰まりを見せている政治状況が変化することが期待されていた。しかし、連立政権に現政権のSPDが加わる見込みが高まりと失望を誘いユーロ買いは収束した。米下院でトランプ減税推進へ予算決議案可決、上院に送付されたとの報道にインフレ警戒からドル買いで反応する場面もあった。次第に経済状況よりも政治面の材料がクローズアップされた。週後半には再びトランプ関税が市場に波紋を広げている。「EUの自動車、その他に関税を25%」として米欧貿易戦争が意識された。ユーロ相場に売り圧力が掛かった。さらに、「メキシコとカナダ、そして中国への10%の追加関税を3月4日に発動する」「4月2日の相互関税の日付は完全に有効なまま」としたことが一段とネガティブサプライズを広げた。そのなかでスターマー英首相が防衛予算増額を手土産にトランプ米大統領と会談し、関税問題についての言及はみられなかった。ユーロ対ポンドではユーロ売り・ポンド買いの流れが続いた。クロス円は総じて上値重く推移も、通貨ごとに円高の度合いはまちまちだった。ドル相場は前半にドル安、後半はドル高と方向性が錯綜。ドル円は148円台では下げ渋り、週末にかけては150円台後半とやや買いが優勢になった。日経平均は週末に1000円超安で引けるなど株式市場は波乱含みで終了も、為替市場では確たる方向感に欠ける展開が続いた。米トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が口論に発展するなど物別れとなったことでリスク警戒のドル売り円買いが出る場面も、引けにかけて買い戻しが見られた。
(24日)
東京市場は天皇誕生日の振り替え休日のため休場。
ロンドン市場では、ユーロ買いが一服。週末の独連邦議会選挙で中道右派勢力が第1党となり、極右政党が第2党に躍進、現政権を担う中道左派は敗北した。市場では新政権の経済対策への期待からユーロ買いの反応で週明け取引が開始した。ユーロドルは1.04台後半から1.05台乗せとなった。しかし、アジア午後からは売り戻されており、ロンドン午前には1.04台後半へと反落、上に往って来いに。一方、欧州株式市場では独DAX指数が上昇を主導し、好ムードは継続。独Ifo景況感指数は予想を下回ったが、期待指数は上昇し先行きへの期待感がみられた。ユーロ円は156円台前半から157円台前半で上下動、足元では156円台後半での推移。対ポンドではユーロ高に傾いているが、上げ幅は縮小。ポンドドルは1.26台でユーロドルとともに上に往って来い。ポンド円は188円台半ばから189円台半ばで売買が交錯。いずれもやや円安方向に水準を上げている。ドル円はアジア時間に148.85近辺まで下押しされたあとは、足元で149.70台に高値を伸ばしてきている。この後には米仏首脳会談および会見が予定されている。ウクライナ情勢や関税などに関する内容が注目されている。
NY市場では、根強い円高の動きがみられた。ドル円は一時149円台後半まで上昇。ただ、心理的節目の150円台には慎重で、その後は149.35付近に伸び悩む場面も見られた。円高の動きは根強く、ユーロ円やポンド円といったクロス円は上値の重い展開が続いている。円にはまだまだ上昇余地があるとの指摘が出ている。今週発表の2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)がインフレ圧力の根強さを示すようであれば、日銀はよりタカ派的なスタンスを取らざるを得ないという見方が裏付けられるという。先週の1月の全国消費者物価指数(CPI)はすでに日銀が早期に追加利上げを実施すべきという根拠を強めていた。ユーロドルは1.04台半ばから後半での推移。独総選挙結果を受けた新政権の経済拡大策に対する期待から、ロンドン時間に一時1.05台を回復したものの、その後は維持できずに伸び悩んだ。一部からは、ドイツ連邦議会の分裂で大規模改革は困難との見方も出ている。ポンドドルは一時1.26台後半まで上昇したものの、NY時間にかけて1.26台前半に伸び悩んだ。英財務相が歳出削減に踏み切ればポンドに打撃との指摘が出ている。1月の予想を下回る公共部門の黒字により、リーブズ財務相が増税を回避したいのであれば、支出削減が必要になる可能性が高まっているという。
(25日)
東京市場では、円売りが優勢。ドル円は、午前に日本10年債利回りの低下などから円売りが優勢となり、一時150.30付近まで上昇した。その後、トランプ米政権による対中半導体規制強化の報道を受けてドル安・円高傾向となり、午前の上げを帳消しにして、一時149円台半ばまで下落した。ただ、下値は限定的となり、午後は149円台後半で小幅な値動きにとどまった。ユーロ円はドル円同様に午前に円安となり、一時157.24付近まで上昇。午後にいったん156円半ばまで下げたあと、午後は再び156円台後半まで強含んだ。ユーロドルは、ややドル安傾向となり午後に一時1.0480付近まで上昇した。
ロンドン市場では、円買いが先行。欧州株が下げて取引を開始、米債利回りの低下の動きもみられている。周辺市場ではビットコインの下落も話題となっている。先週末の一連の米経済指標が弱含んだことが引き続き警戒されているようだ。米サービスPMIが50割れとなったほか、ミシガン大学消費者信頼感指数や中古住宅販売件数も予想外に弱かった。世界経済のけん引役である米経済にカゲリがみられるようだと世界中が風邪をひくことが懸念され始めているようだ。ただ、欧州株は足元でプラスに転じており、リスク回避の動きは一服。このあとの2月コンファレンスボード消費者信頼感の結果を見極めたいとのムードも。ドル円は149円台で下に往って来い。ユーロ円は156円台で、ポンド円は188円台前半から189円台前半で上下動。ユーロドルは1.04台後半、ポンドドルは1.26台前半での小幅の値動きとなっている。
NY市場では、弱い米指標を受けてドル売りが優勢。米消費者信頼感指数が予想外の弱さとなったことから、ドル売り・円買いの動きが強まり、ドル円は一時148.60円付近に下落。2月の米消費者信頼感指数が98.3と100を下回り、昨年6月以来の低水準となった。先週のミシガン大消費者信頼感指数に続き、家計のセンチメントが低下していることを示唆する内容となっている。インフレが高止まりしていることや、トランプ大統領の関税政策、そして徐々に冷え込みつつある労働市場が消費者のセンチメントを圧迫している。これを受けて短期金融市場ではFRBによる年内2回の利下げを完全に復活させている状況。ユーロドルは1.05ドル台を回復。ECBが本日10-12月のユーロ圏の妥結賃金を公表していたが、前年比4.12%の上昇となった。伸びは7-9月の5.43%からは鈍化した。これを受けてECBの追加利下げの環境が整ったとの指摘もある一方、この上昇によりインフレの高止まりが続く可能性があるとの指摘も出ている。ポンドドルは緩やかな上昇の展開を見せ、1.26台後半に上昇した。エコノミストからは、現在の英労働市場は緩やかな冷え込みに留まっているものの、4月の国民保険料(NICs)の企業負担分の引き上げは重大なリスクだと指摘している。
(26日)
東京市場では、ドル円が上下動。日米金利差縮小期待などからの円買いが続く中、148.63近辺まで下押しされた。しかし、米下院が現地時間25日の本会議で2025年会計年度(2024年10月から2025年9月)の予算決議案を可決。トランプ氏の示す大幅減税に向けた道を開くものになる。これにより、米インフレ懸念が拡大。米債利回りが上昇、一転してドルが買われた。ドル円は午後には149.63近辺に高値を伸ばし、朝方から1円の上昇となった。ドル全面高となる中でユーロドルは朝の1.0525近辺の高値から売られ続けて1.0487近辺に安値を広げた。ポンドドルは1.2678から1.2636までのレンジで下落した。ドル主導の展開となるなかで、ユーロ円は156.42から157.10まで買われたあと、156.70台に押し戻されている。
ロンドン市場では、ドル買いが一服。先週末からの一連の米経済指標が弱含んだことを受けてドル売り優勢の流れとなるなかで、東京市場では「米下院、トランプ減税推進へ予算決議案可決 上院に送付」との報道にドル買いで反応した。インフレ圧力が高まりとの見方で、米債利回りが上昇したことが背景。しかし、ロンドン時間に入ると米債利回りの上昇も一服しており、為替市場でもドル買いの勢いは一服している。このあとのNY市場では注目度の高い米経済指標発表の予定はなく、NY引け後に発表される米エヌビディア決算の結果を見極めたいとのムードとなっているようだ。ドル円は149円台半ばに高止まり。ユーロドルは1.05、ポンドドルは1.26半ばを挟んで売買が交錯している。欧州株が堅調に推移しており、ユーロ円は156円台後半から157円付近、ポンド円は188円台後半から189円付近など前日終値をやや上上回る水準で取引されている。
NY市場では、トランプ関税をめぐってリスク回避の動き。ドル円はNY時間に入って戻り売りが強まり、148円台に再び下落。トランプ大統領は「EUの自動車、その他に関税を25%」と述べた。また、カナダ、メキシコへの関税も4月2日に実施する意向を示した。この発言で米株式市場に売りが強まり米国債利回りも下げたことから、ドル円も148円台に下落した格好。前日発表の米経済指標が予想外の弱さとなったことから、米経済の先行き不安が台頭し、FRBの年内2回の利下げ期待も復活している。ドル円はここ数日の下げで下値警戒感はさらに高まっており、オプション市場ではドル円の下落を想定した取引が活発化している。トランプ大統領の発言でユーロの売りが強まった。ユーロドルは序盤に1.05台を回復していたが、1.04台に再び急速に伸び悩んだ。一方、ポンドドルは一時1.27台を回復する場面がみられた。1月中旬からのリバウンド相場の流れをきっちり維持している。 一部では今週予定されているスターマー英首相とトランプ大統領の会談に注目する向きもいる。英米会談が好意的に受け止められれば、ポンドは対ユーロで上昇する可能性があるという。
(27日)
東京市場は、ややドルが買われている。ドル円は、朝方に一時148.75付近まで下落する場面があったが、その後は下げ渋り、一転して149円台前半まで上昇した。米10年債利回りが一時4.28%台まで上昇したことからドル買いが優勢となった。ドル円は午後に入って上値を小幅に広げ、一時149.42付近まで上昇した。ユーロドルは軟調。ドル高傾向を受けて午後に一時1.0459付近まで下落した。ユーロ円はもみ合い。午後に一時156円割れに沈む場面があったが下値は堅く、その後は一時156.40台まで戻して方向性の定まらない動きとなった。
ロンドン市場では、円売りの動きが広がっている。ドル円は149.97レベル、ユーロ円は157.22レベル、ポンド円は190.11レベルまで高値を伸ばしている。欧州株はトランプ関税を受けで売られているものの、エヌビディア決算を無難に通過したことで米株先物は総じてプラス圏で推移している。米10年債利回りは4.26%台から4.31%付近へと上昇。金先物は下落し、原油先物は下げ渋り。全般的にリスク選好的な値動きとなっている。月末を控えて、来月に向けた新規投資やリバランスなどで円売りフローが持ち込まれる面も指摘される。このあとのNY市場では第4四半期の米GDP改定値などが発表される。また、スターマー英首相がトランプ米大統領と会談する。
NY市場では、トランプ発言でリスク回避のドル高・円高の動き。トランプ大統領がメキシコとカナダ、そして中国への10%の追加関税を3月4日に発動すると述べた。4月2日の相互関税の日付は完全に有効なままとも言及。関税発動は4月以降とも見られていただけに、市場には驚きが広がったようだ。これを受けて市場はリスク回避の反応が出ており、為替市場はドル高・円高の反応が見られた。ドル円は一時150円台を回復した。一方で、ユーロ円やポンド円は下落。ドル円は積極的な上値追いまでは見られていない。150円台に入ると戻り売り圧力も強まるようだ。明日は東京都区部の消費者物価指数(CPI)が発表になるが、日銀の早期利上げへの市場の期待を裏付ける内容になる可能性もあり、円高を警戒した動きは根強い。 ユーロドルは1.04ドルちょうど付近に下落。ポンドドルは1.26台割れを試す展開となった。ユーロ円は155円台後半、ポンド円は188円台後半へと下押しされた。本日はスターマ―英首相がワシントンを訪問し、トランプ大統領と会談を行っている。ウクライナ問題や軍事基地といった安全保障が議題の中心のようで、通商関連のニュースは少ない。トランプ大統領はEUには自動車などに25%の関税を課す方針を示していたが、英国に関してはまだない。英政府は、英国は米国と貿易問題を抱えておらず、関税はないのではと考えているようだ。
(28日)
東京市場では、ドル円が振幅。東京朝方に発表された2月東京消費者物価指数の市場予想を下回る結果を受けて円売りが優勢となり、一時150.15付近まで強含んだ。しかし、その後は日経平均の大幅安などからリスク回避の円買いが優勢となり、朝方の高値から1円以上の円高水準となる149.10付近まで下落した。午後にかけては下げが一服。トランプ米大統領の関税政策を受けた米インフレ懸念によるドル買いが優勢となり、午前の下げを帳消しにして、一時150円台を回復した。前日にトランプ米大統領は「3月4日にカナダ、メキシコに対する関税を発動、また中国に対しても10%の追加関税を課す方針」を示しており、世界貿易摩擦への警戒感が広がった経緯がある。ユーロ円は154円台後半から156円手前へと反発。ユーロドルは1.0381から1.0404までの狭いレンジで揉み合った。
ロンドン市場では、リスク回避の動きはひとまず一服している。昨日のNY市場でのトランプ関税発言が市場にネガティブサプライズの反応を広げ、株安とともにドル高や円高の動きが強まった経緯がある。今日の東京市場でも日経平均が一時1400円安となるなどリスク警戒の動きが強まり、ドル円は149.10近辺まで一時下押しされた。しかし、東京午後にかけては反発の動きに転じた。ロンドン市場ではこのところ上値を抑えられていた150円台半ばを上回ると高値を150.69近辺まで伸ばした。ショートカバーの動きがみられた。その後は売り先行の欧州株が下げ幅を縮小しているが、円売りは一服し、150円台前半に落ち着いている。ユーロ円も東京午前に154.80近辺まで下落。その後の買い戻しではロンドン序盤に156.78近辺まで高値を伸ばした。現在は156円台前半で推移している。ユーロドルは1.0381から1.0408までの狭いレンジ取引となっている。このあとのNY市場では米PCEデフレータやシカゴPMIなどが発表される。トランプ米大統領とウクライナノゼレンスキー大統領が会談し、鉱物協定に署名する予定。
NY市場でドル円は朝方150円99銭を付けた。注目された米PCEデフレータは市場予想に一致し、市場の反応は一息。発表直後に高値を付ける場面が見られたが、動きが落ち着くとイベントクリアもあってドル売りが強まった。151円台に乗せきれなかったことも上値を抑える展開。米トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領のホワイトハウスでの会談が、口論に発展するなど厳しい結果となり、リスク警戒につながったこともあり一時150円30銭割れとなったが、動きが続かず。同会談を受けた動きではユーロドルが1.0420ドルから1.0360ドル前後を付ける動き。ユーロ円は157円16銭を付けていたが、155円80銭前後を付けた。もっとも引けにかけて米株の上昇が加速したことで円売りが出て、クロス円は安値から買い戻しが入っている。
MINKABU PRESS
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執筆者 : MINKABU PRESS
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