米PPIを受けてドル売り強まり、ドル円は144円台に下落=NY為替概況
米PPIを受けてドル売り強まり、ドル円は144円台に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米生産者物価指数(PPI)を受けてドル売りが強まり、ドル円は144円台に下落している。12月の米PPIは前日の消費者物価指数(CPI)と違い、予想を下回った。3カ月連続で低下し、企業レベルでのインフレは鈍化傾向が続いている。
この数字はいずれ消費者物価に反映される可能性があるが、これを受けて短期金融市場ではFRBの利下げ期待が高まっており、年内の合計の利下げ幅予想が1.60%ポイントまで拡大している。
ドル円は節目の145円を再び割り込んでいるが、早期にその水準に戻せるか注目される。今週は145-150円へのレベルシフトの期待も高まったが、現状からはその期待は後退しそうな気配となっている。
本日は東京時間に、日銀が今月の決定会合で2024年度のコアCPIの見通しを下方修正する公算が大きいと報じられていた。市場では4月のマイナス金利解除が期待されているようだが、日銀はその後、しばらくゼロ金利で様子を見るとの見方も少なくない。インフレ見通しが下方修正されるのであれば、その見方は正当化されるのかもしれない。
その場合、円キャリー取引がドル円やクロス円を下支えする可能性はありそうだ。
ユーロドルはNY時間に入って買い戻しの動きが見られ、一時1.09ドル台後半に上昇する場面が見られた。ただ、1.10ドル台には依然として慎重で1.0965ドル近辺に伸び悩んでいる。
前日の米消費者物価指数(CPI)は予想を上回ったものの、市場がFRBの3月利下げ開始期待を後退させることはなかった。逆にこの日の米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、年内の利下げ期待が強化されている格好。しかし、エコノミストの間では3月のFRBの利下げ期待は非現実的との見方は多く、いずれ市場は3月の利下げ観測を後退させ、ユーロドルは下落する可能性があるとの指摘も少なくない。また、ユーロドルは今年すでに2度1.10ドルを試しているが、上方ブレイクには至っておらず、短期的には調整が入ると見ているようだ。今年一杯で見れば、1.15ドルを目指す強気の見通しを維持するが、目先は下振れリスクが優勢だという。
ポンドドルも一時1.27ドル台後半まで上昇。しかし、1.28ドル台には売りオーダーも観測され、強い上値抵抗となっており、その後は1.27ドル台半ばに伸び悩む展開。ポンドドルは膠着した展開が続いているものの、1.27ドル台前半に来ている21日線の上は維持されており底堅さは維持している。
本日は11月の英月次GDPが発表になっていたが、前月比0.3%増と予想を上回っていた。本日の発表を受けて2023年の英経済は景気後退を免れた可能性が高いとの指摘が出ている。第4四半期の経済が縮小するには12月に0.2%以上の落ち込みが必要で、その可能性は低いという。
2つの一時的要因が景気を後押しした。サービス業の生産高はストライキ減少に牽引され、ブラックフライデーの値引きは卸売業と小売業の活動を活性化させたようだ。しかし、経済成長を押し上げるのは、利下げが実施された後の2024年後半だという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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