米CPIを受けてドル買いも後半に戻す 市場は3月利下げ期待を変えず=NY為替概況
米CPIを受けてドル買いも後半に戻す 市場は3月利下げ期待を変えず=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表になった米消費者物価指数(CPI)を受けて前半はドル買いが強まったものの、後半に戻す展開となった。
米CPIで総合指数は前年比3.4%と予想以上の上昇を見せた。サービス価格や住宅も引き続き上昇が続き、コア指数も前年比3.9%と、前回からはやや鈍化したものの予想を上回った。住居費が全体の伸びの半分超を占めた。FRBが注目している住居費を除くサービス業、いわゆるスーパーコアも前月比で0.4%の上昇。個別では中古車や航空運賃が上昇。
少なくとも3月利下げ開始を正当化する内容ではなく、エコノミストからも利下げ開始は遅れるとの見方が数多く出ていた。しかし、短期金融市場では3月までの利下げ開始の可能性を後退させていない。確率は70%程度で推移し、前日よりも確率を上昇させていた。
3月FOMCまでにはまだ、複数回の米CPIや米雇用統計の発表が予定されており、それを確認したい意向があるのかもしれない。ただ、1月30-31日のFOMCでは、早期利下げ期待を否定してくる可能性はありそうだ。
ドル円は米CPI発表後に146円台を回復し、一時146.40円付近まで上昇。しかし、終盤にかけて145円台半ばに伸び悩み、結局、米CPIの上げの大半を戻している。
ユーロドルは米CPIを受けて、1.09ドル台前半まで下落する場面が見られた。しかし、下押す動きまではなく、後半はその下げを取り戻している。ユーロドルは21日線の下での推移が続いているが、下値では押し目買いも出て、下値を切り上げる動きも見られている状況。
FRB同様にECBも早期利下げ期待が高まっているが、ECB理事中心に否定的な見解が相次いでいる。しかし、短期金融市場では4月の利下げ開始を完全に織り込んでいる状況。
ポンドドルは一旦1.26ドル台に値を落とす場面が見られたものの、下値はサポートされ、1.27ドル台に戻している。本日の21日線が1.2710ドル付近に来ているが、その水準は維持されている格好。
金利低下による恩恵は、他の地域以上に英経済に大きく影響を与えるとの指摘が出ている。第1に、英国では住宅ローン業者が急速に金利を引き下げており、住宅ローン残高の平均金利がこれ以上上昇することはなく、家計支出の圧迫が緩和される可能性が高いという。
そして、第2に金利低下は政府を支援するとしている。ハント財務相は年内にも行われるであろう総選挙への対策として、3月の春季予算で減税の発表を希望している。試算によれば、市場金利の低下と債券利回りへの影響により、英政府には120億ポンドの財政的余裕が生まれる可能性があるという。これにより、年間を通じて英GDPは小幅ながらプラス成長する可能性があるとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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