ドル円、143円台に一時下落 3月利下げ期待が根強い=NY為替概況
ドル円、143円台に一時下落 3月利下げ期待が根強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル売りが強まり、ドル円は143円台に一時下落した。特段のドル売り材料は見当たらなかったが、米国債利回りが下げており10年債も一時4%を下回る中で、ドル売りが復活していたようだ。
先週の米雇用統計は力強い労働市場を示唆し、市場では3月までの利下げ開始期待が後退。現在は65%程度の確率に低下している。ただ、FRBが3月に利下げを行う可能性を市場がまだ信じているため、短期的にドル下落の可能性があるとの見方も出ていた。3月FOMCまでには、米雇用統計も消費者物価指数(CPI)もあと複数回発表されるほか、1月FOMCもある。そのため、3月までの利下げ開始をまだ排除できないのかもしれない。
直近のドル円はテクニカル的にも、その反発に一服感が出つつあるとの指摘が出ている。ドル円は12月28日の安値から先週金曜日の高値まで約4.9%反発したが、金曜日の日足ベースのローソク足は長い上髭を付けて寄引同事線を示現。時間足ベースでもドル円の上昇モメンタムは一旦後退している気配も出ているという。
ユーロドルは買い戻しが膨らみ、一時1.09ドル台後半まで上昇。ただ、1.10ドル台での売り圧力も相当程度観測される中で、その水準にはいまのところ慎重なようだ。
今年の為替市場の主要テーマは、世界的な利下げサイクルへの移行を見据えたポジショニングだとの指摘し、その中で各中銀への市場の織り込み度合いは、ECBは少な過ぎる一方、FRBと英中銀の利下げ期待は多過ぎるとの指摘が出ている。欧州の低調な成長とインフレ鈍化は、市場が想定する以上にECBは年内に利下げを実施することを意味するという。
また、市場は昨年12月に今年の利下げ期待というテーマを熱狂的に捉えたが、市場の動きは早過ぎるとし、短期的に巻き戻される可能性も留意されるとも指摘した。
ポンドドルは一旦1.26ドル台まで値を落としていたものの、NY時間に入って1.27ドル台半ばに上昇した。本日の動きは21日線で反転した格好となっており、先月に上値を拒んでいた1.28ドル台を試に行くか注目される。一方、ポンド円は183円台で下に往って来いの展開が見られているが、183円台半ばに来ている100日線は維持している。
英中銀はインフレ圧力緩和を背景に、8月頃から利下げを開始する可能性があるとの見方が出ている。短期金融市場では現在、5月の利下げの可能性を高めているが、その見方にはやや慎重で、英中銀は5月よりも8月に利下げを開始すると考えているという。ただ、その後は2025年8月まで、会合ごとに0.25%ポイントの利下げを続ける可能性があるとも語った。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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