ドル円は151円台を一気に固める 急速なら財務省の強めのけん制も警戒=NY為替概況
ドル円は151円台を一気に固める 急速なら財務省の強めのけん制も警戒=NY為替概況
きょうの為替市場は日銀決定会合を経て急速に円安が進み、ドル円は一気に151円台を固める展開となった。NY時間に入ってドル買いが優勢となっていることもドル円の上げを後押ししている。
前日のNY時間に流れた観測報道通りに、日銀は本日の決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正を発表した。ただ、為替市場は円安の反応。YCCは緩和解除の方向に再修正されたものの小幅な修正でもあり、米国債利回りとの格差は依然として大きいという印象が強かったようだ。NY時間に入ってドル買いが優勢となっていることも追い風となり、一気に151円台を固める動きが見られている。
日銀はこれまで10年債利回りを「上下0.5%をメドとしたうえで、1.0%を厳格な上限」としていたが、それを「メドを1.0%に引き上げたうえで、柔軟に対応」に修正している。指し値オペの毎営業日実施も取りやめた。具体的な上限の数値を削除しており、事実上1.0%よりも上の水準もある程度許容する姿勢に再修正したと捉えられている。
植田総裁は会見で1.5ー2.0%の可能性について聞かれ、「そこまで上昇するとは見てない」と述べていた。今回は具体的な上限の数値は削除したものの、米国債利回りのように急激に上昇することは許容せず、いまは1.0%程度で落ち着いていてくれれば良いというこのなのかもしれない。実際、10年物の日本国債利回りも1%手前で推移している。
日銀の反応次第では152円台に上昇との見方も市場では出ていたが、あまりに急速な上昇であれば、財務省が強めにけん制してくる可能性は十分に警戒したいところではある。財務省の方針は水準ではなく、あくまでスピードだ。
本日のユーロドルは戻り売りに押され、1.05ドル台に再び下落。本日の21日線が1.0570ドル付近に来ているが、その水準に再び顔合わせしている。10月に入ってからのユーロドルはリバウンド相場への期待も高まっていたが、やはり上値は依然重い印象。
きょうは10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の速報値が発表され、総合指数は前年比2.9%、コア指数は予想よりも若干上回ったものの、4.2%と前回からは鈍化している。総合指数はエネルギーと食品価格が数字を予想以上に押し下げた。
ECBにとって、これは間違いなく良いニュースだが、恐らくコアの方が現状をより正確に反映しており、ECBが持続可能な方法でインフレを抑制するために、まだ仕事を抱えていることを反映している。特にエネルギー価格はまだ不安定で、今後数カ月間の前年のベース効果はあまり期待できない。ECBが景気を下支えするために利下げを検討するまでには、まだ時間が必要そうで、利上げは終了したとしても、長期間の高金利維持の姿勢はなお続きそうだ。
*ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(10月)19:00
結果 0.1%
予想 0.3% 前回 0.3%(前月比)
結果 2.9%
予想 3.0% 前回 4.3%(前年比)
結果 4.2%
予想 4.1% 前回 4.5%(コア・前年比)
ポンドドルも戻り売りに押され、1.21ドル台前半まで一時下落した。NY時間の入り際には1.22ドル付近まで上昇していた。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されており、ポンドについてはその結果待ちの雰囲気も強い。
本日は英小売協会(BRC)が10月の店頭価格のデータを公表していたが、その中でも食品価格が前年比8.8%上昇と6カ月連続で鈍化していた。ただ、英中銀が目標としている2%の4倍以上で、依然として大きくかい離している。インフレがより持続可能な水準に戻るにはまだ長い道のりがあることを浮き彫りにした。全体的な店舗価格のインフレは9月の6.2%から5.2%に鈍化。しかし、市場は英中銀の利上げ打ち止め期待を高めており、その期待に変化はない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。