為替相場まとめ7月10日から7月14日の週
10日からの週は、これまでのドル高に対する調整売りが強まった。ドル円は6月30日に節目となる145円台を一時付けた後、144円台を中心とした推移が続いていた。7日に発表された米雇用統計を前にドル買いポジションの調整が始まり、雇用統計が弱く出たことでドル売りが加速する形で142円00台まで一時下げて、10日の週明けにいったん142円60銭台まで買い戻されたが、その後ドル安に復した。12日に発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る弱い伸びとなり、ドル売りが加速。さらに13日発表の米生産者物価指数(PPI)も弱めに出てドル売りが強まった。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ期待は継続しているが、今月の利上げで打ち止めになるとの期待が広がり、ドル売りにつながっている。ドル円は137円台前半まで一時ドル安が進んだ。米国の複数回利上げ期待の後退を受けたドル売りは、ユーロドル、ポンドドルなどでも目立ち、ユーロドルは1.1240台と2022年2月以来のユーロ高ドル安圏を付けた。ポンドドルも2022年4月以来の1.30超えを付け、1.3140台まで上値を伸ばした。
(10日)
東京市場は、ドル円が買い戻された。先週末は米雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回ったことを受けてドル売りが広がった。ドル円は142.00付近まで下落。週明けは142.10台で取引を開始。その後はドル買いが強まった。先週末に円高進行を受けて午前は売りに押された日経平均が午後には買い戻され、ドル円も反発、143円台をつけた。その後は142.60台へと上昇は一服している。ユーロドルでもドル高が進んだ。朝の1.0970前後での推移から、じりじりとユーロ安ドル高となり1.0950割れを付けている。先週末のドル売りで1.08台後半から1.09台後半まで上昇しており、その分の反動が週明けに出た形。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ただ、通貨ごとに値動きはまちまち。円やユーロが比較的強い一方で、豪ドルやポンドは軟調。ドル円はロンドン時間に入ると142.20付近に軟化し、戻りも限定的。東京市場で買われたクロス円も反落している。ユーロは底堅い動き。対ドルでは1.0973近辺まで買われ、先週末の高値水準に並んだ。ただ、上値追いには至らず1.09台後半に高止まり。ユーロ円はロンドン時間には155.70台まで反落し、156円台前半へと下げ渋り。ポンド円は対ユーロでの売り圧力がみられた分、上値が重い。対ドルで1.28台前半から1.28台割れへと軟化、対円では183円台乗せまで買われたあとは182円付近まで安値を広げる場面があった。豪ドルが軟調。東京午前に発表された中国物価統計の低迷が売りを誘っており、豪ドルはほぼ一方通行で下落している。対ドルでは0.66台後半から0.66台前半へ、対円では95円台半ばから94円台半ばへと下押しされた。先週末の米雇用統計を通過し、今週水曜日の米消費者物価指数発表を控えたタイミングで、きょうは目立った指標材料はみられず手掛かりに欠ける動きとなっている。
NY市場では、ドル売りが強まった。ドル円は141円台前半まで下落。先週末の米雇用統計後の下げを受けて、ドル円は上値へのモメンタムを一旦失ったようだ。きょうの下げで21日線を下放れる動きが見られており、テクニカル勢の売りも出ている模様。ユーロドルは1.10台まで上昇。ポンドドルは一時1.2750付近まで下落していたものの、NY時間に入って1.2865付近まで買い戻された。この日は複数のFOMC委員からの発言が伝わっていたが、追加利上げの必要性を強調していた。しかし、景気の先行き不安も台頭しつつある中、ドルのフォローとはなっておらず、円安の動きも見られていない。今週は12日水曜日に米消費者物価指数(CPI)が発表になり、それを受けてもドル円に反転が見られなければ、さらに下押すリスクが警戒される。ECBや特に英中銀の追加利上げ観測が根強く、側面からドル売り圧力となる面も指摘されている。
(11日)
東京市場で、ドル円が軟調に推移。先週後半から強まったドル安・円高基調が継続している。141円台前半で売買が交錯したあと、昼前には売りが広がった。米債利回りの低下は比較的小幅にとどまっており、直近に積み上がったドル買い・円売りポジションに調整が広がる格好。141円割れで短期筋のストップ注文が発動され、140.60台まで下落。その後も戻りは141円には届かず、再び140.57近辺に安値を広げた。ユーロ円は155.60近辺を高値に154円台へと下落。ユーロドルはドル安に支えられて、1.10ちょうど付近から1.1022近辺へと小高い動き。
ロンドン市場は、円買いが優勢。明日の米消費者物価指数でインフレの伸び鈍化が想定されており、日米金利差拡大観測がやや後退しているもよう。海外勢を中心に日銀のYCC調整観測が根強いことも円買いを誘ったようだ。米10年債利回りが4.00%付近から3.94%台まで低下するなかで、ドル円は安値を140.16近辺まで広げた。ユーロ円は155円台割れから154.30付近へ、豪ドル円は94円台前半から93.56近辺へ安値を広げた。その中ではポンドはやや底堅い動き。朝方に発表された英雇用統計で平均時給が前年比+6.9%と前回の+6.5%から伸びが加速したことが背景。ポンド円は181円台後半に一時上昇。その後は円高圧力とともに181円台を割り込む場面があったが、足元では181円台前半から半ばで推移している。一方、ユーロ相場は軟調。独ZEW景況感が予想以上に落ち込んだことが背景。ユーロドルは1.1027近辺を高値に1.0997近辺まで反落した。対するポンドドルは1.28台後半から一時1.2935近辺まで買われている。ドル指数は低下、5月11日以来の低水準となった。
NY市場で、ドル円は上値重く推移。ロンドン時間に一時140.15付近まで下落したあと、NY時間に入ると141円手前まで買い戻される場面があったが、再び売りに押されて140円台前半と上値が重くなっている。140円割れを試しそうな気配が十分に高まっている。先週の米雇用統計を受けた反応をきっかけに、ドル円は上値へのモメンタムを一旦失ったようだ。円キャリー取引の巻き戻しが活発に入っており、テクニカル勢の売りもそれに加わる中、ドル円は売りが加速している。ユーロドルは上値追いの動きが継続し、1.10台に上昇した。ポンドドルは1.29台に上昇し、年初来高値を更新した。完全に上向きの流れに復帰している。あすの米消費者物価指数の伸び鈍化が予想されるなかで、総じてドル売りが強まった。
(12日)
東京市場では、ドル円が140円台を割り込んだ。朝方に140円の大台を割り込むと、ストップを巻き込んで一段安となり139.37近辺に安値を広げた。その後の戻りは139.70台までにとどまり、139.50付近での推移に落ち着いた。ユーロ円はドル円の下げとともに154.60台から153.70台まで下落。ユーロドルはじりじりとドル安が進み1.1037近辺まで上昇した。米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化するとの見通しが、ドルの重石となっている。NZ中銀は市場予想通り政策金利を据え置き、利上げを打ち止めとした。専門家予想では完全に据え置きが織り込まれ、短期金利市場でも90%以上の織り込みとなっていたため、目立った動きはなかったが、若干のNZドル売りとなった。声明では当面は現状水準を維持することがターゲットに向かうために必要との認識が示された。
ロンドン市場は、ややドルに買戻しが入っている。ドル円はロンドン朝方には139.31近辺まで安値を広げた。その後は売り一服となり139.75付近まで買い戻され、揉み合いとなっている。米消費者物価指数の発表を控えて、下落は一服。ユーロドルは前日からの上昇の流れを受けて東京午後に1.1037近辺まで買われた。その後はロンドン時間にかけて上値を抑えられ、1.1010台での取引に落ち着いている。ポンドドルは軟調。東京市場で1.2969近辺に高値を伸ばすも、その後は調整売りに押されて1.2910台へと安値を更新している。対ユーロでの売り戻しが入っている。ユーロ円が153円台後半で揉み合う一方で、ポンド円は180円台後半から前半へと軟化している。欧州株は米インフレ鈍化期待で堅調に推移。米債利回りは低下一服。日本時間午後9時30分の米消費者物価指数の結果待ちとなっている。
NY市場では、米CPI発表を受けてドルが急落。米消費者物価指数(CPI)はインフレの鈍化傾向を鮮明にした。総合指数が前年比3.0%まで鈍化したほか、コア指数も4.8%と予想の5.0%を下回った。また、パウエルFRB議長が注目している住居費を除くサービス業の指数であるスーパーコアも計算値で前月比変わらず、前年比で4.0%まで低下。2021年以来の低い伸びとなっている。 FRBはあと2回の追加利上げの可能性を強調しているが、今月のFOMCについては0.25%ポイント利上げの見方に変化はないものの、市場とFRBの見解が分かれている9月以降の2回目の利上げについては見送られるとの見方を強めている。市場は本日の米CPIを受けて、今月の利上げが最後になるとの期待を更に強めたようだ。ドル円は138円台前半まで急落。ユーロドルは一気に1.11台に上昇。ポンドドルは心理的節目の1.30台を回復する場面があった。カナダ中銀が政策委員会の結果を発表し、予想通りに25bpの利上げを実施した。一部からは据え置きの見方も出ていただけに、結果を受けてカナダドルは買いの反応が見られていた。声明では追加利上げの示唆は無かったものの、インフレの2%目標への戻りの時期を2025年半ばと予想。前回や前々回から後ずれしており、追加利上げの選択肢を残す格好となった。
(13日)
東京市場で、ドル円は138円台での上下動。前日のNY市場で6月の米消費者物価指数が市場予想を下回る結果となったことで、138.16付近まで下落した。東京市場朝方には米債利回り低下を受けて138.08近辺に安値を更新。しかし、その後は日経平均の上昇や米債利回りの低下一服を受けて買い戻され、午後には高値を138.83近辺に更新した。ユーロ円は朝方に154円台割れも、午後には154.62近辺まで反発。ユーロドルは午前中のドル売り局面で昨年3月以来の高値水準となる1.1149近辺まで上昇する場面があった。アジア株の堅調な推移とともに、リスク動向に敏感なオセアニア通貨買いが優勢となった。豪ドル/ドルは約3週間ぶり高値水準の0.3820付近、NZドル/ドルは約2か月ぶり高値水準となる0.6339近辺まで買われた。
ロンドン市場は、ドル安と円安が続いている。東京市場では値動きが停滞していたが、ロンドン時間に入ると米債利回りが一段と低下、欧州株や米株先物が堅調に推移するなかで、ドル安と円安が再燃。ロンドン早朝に発表された5月英GDPが前月比-0.1%とマイナスに転じたが、市場予想-0.3%を上回ったことでポンド買いの反応を示した。この動きに追随してユーロドルや豪ドルなども上昇、クロス円も上値を伸ばしている。ドル円は138円台半ばを中心に上下動も、前日からのドル安・円高水準での取引にとどまっている。ポンドドルは1.30台にしっかり乗せると1.3080付近へ、ユーロドルは1.1150付近から1.1174近辺へと高値を伸ばしている。ポンド円は180円付近から181円台乗せ、ユーロ円は154円付近でサポートされると154.80付近に上昇。対ユーロでのポンド買いの動きもみられた。この後の米生産者物価指数(PPI)でもインフレ鈍化が予想されており、ドル売りが先行した格好。
NY市場では前日の米CPIに続いて、米生産者物価指数(PPI)が弱く出たことでドル売りが強まった。PPIは前年比+0.1%となった。7月の利上げ見通しは継続しているが、7月の利上げで打ち止めになるとの期待が広がっており、ドルの上値を抑えている。ドル全面安となりユーロドルは2022年3月以来の1,12ドル台までユーロ高ドル安となった。ポンドドルも昨年4月以来となる1.30ドル超えを果たすと、1.31台まで上値を伸ばした。ドル高の調整ではなく新たなドル安局面に入っているとの期待が積極的なドル売りにつながっている。ドル円は137円90銭台まで一時値を落とし、その後の戻りも鈍い。
(14日)
東京市場は前日のドル安の流れを受けて、午前中はドル安円高が強まった。ドル円は138円00銭台でスタートすると5月17日以来のドル安円高圏となる137円25銭までドル売り円高となった。ユーロ円が155円台から154円18銭を付けるなど、この時間帯は円買いが主導しての動きとなった。その後昼前に137円60銭台まで回復も、137円40銭割れとなるなど、昼過ぎまで円高傾向が続いた。ロンドン勢が入ってくる時間帯になりドル高の動きが優勢となり、137円台後半から138円台へと買い戻しが入る展開。ユーロドルは朝方ユーロ円の下げに1.1210台を付けた後、いったんユーロ買いドル売りが強まり、前日の高値を超えて2022年2月以来となる1.1240台を付けた。ロンドン勢が入ってくると急速にユーロ売りドル買いが強まった。
ロンドン市場に入ってドル円の買い戻しが一気に強まった。東京午前に安値を付けた後、東京午後は少し買い戻しが入る展開。ロンドン勢が本格参加してくると、ドル買いが一気に強まり、東京朝の水準を超えて、短期筋のストップロス注文を巻き込んでドル買いとなった。先週からのドル安の勢いが早すぎるとの意識もあり、調整が強まる展開となった。ユーロドルは朝のドル買い局面で1.1200台を付けたが、大台を維持した。対円での買いが支えとなった。ユーロ円は朝の水準を超えて大きく買いが入った。東京午前の安値から1円半以上の大きな買い戻しとなっている。
ドル円はNY時間にかけて買い戻しが強まり、一時139円台まで戻される場面が見られた。この日発表のミシガン大消費者信頼感指数が予想以上に強い内容となったことでドル買いが強まっている。本日は東京時間に137円台前半まで下落し、200日線に顔合わせしていたが、今週のあまりの急激な下げに、短期的な値ごろ感も出ているものと思われる。

執筆者 : MINKABU PRESS
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