FX/為替「ドル/円、米雇用統計が強く7月利下げ織り込みは霧散」 外為どっとコム トゥデイ 2025年7月4日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年7月4日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 中村勉
目次
▼3日(木)の為替相場
(1):豪貿易収支 予想を大幅に下回る
(2):ECB議事録 公表
(3):米6月雇用統計 予想外に強い結果
(4):米ISM非製造業 好不況の分岐点上回る
(5):米財務長官 金利や貿易交渉について発言
(6):大型減税法案 米下院から大統領へ
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:動意欠く展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
3日(木)の為替相場
期間:3日(木)午前6時10分~4日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易収支 予想を大幅に下回る
豪5月貿易収支は22.38億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(50.00億豪ドル)や前月(48.59億豪ドル)を大幅に下回った。輸出は非農産物の減少などにより前月から2.7%減少した。一方で、輸入は自動車などの非産業用輸送機器が伸び前月から3.8%増加した。
(2):ECB議事録 公表
欧州中銀(ECB)は6月5日開催分の議事録を公表。「6月の利下げ前に金利はすでにかなり中立的だった」「基調的なインフレ率の主要な指標は、中期的にはインフレ率が2%の目標付近で安定化する可能性を示唆」「関税の引き上げと最近のユーロ高は輸出の重しになるだろう」などの見解が示された。
(3):米6月雇用統計 予想外に強い結果
米6月雇用統計は非農業部門雇用者数が14.7万人増と市場予想(10.6万人増)を上回った。失業率は4.1%で予想(4.3%)に反して前月(4.2%)から低下。平均時給は前月比+0.2%、前年比+3.7%と、いずれも予想(+0.3%、+3.8%)を下回る伸びとなった。非農業部門雇用者数は4月分及び5月分が合計で1.6万人上方修正。生産活動に参加できる人のうち、実際に働いている人と仕事を探している人の割合を示す労働参加率は62.3%と前月の62.4%から低下した。「労働市場が軟化したら利下げ前倒しの可能性」との見方が広がっていたことから、予想外に強い米6月雇用統計の結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の7月利下げ観測が後退しドルが買われた。クロス円は米株価指数が揃って上昇する中で堅調だった。
(4):米ISM非製造業 好不況の分岐点上回る
米6月ISM非製造業景況指数は50.8と市場予想(50.5)以上に前月(49.9)から改善。新規受注が拡大した一方で、仕入れ価格や雇用指数は悪化した。
(5):米財務長官 金利や貿易交渉について発言
ベッセント米財務長官は「過去の米連邦公開市場委員会(FOMC)モデルに基づけば、金利はすでに引き下げられているはずだ」と述べ、FRBが7月会合で政策金利を引き下げないのであれば、「9月にもっと大幅な利下げを実施することになるだろう」との見解を示した。また日本との貿易交渉については、「日本は素晴らしい同盟国だが、今は難しい立場にある」「7月20日に参議院選挙を控えており、それが取引を進めるうえで多くの国内的制約をもたらしていると思う」「日本との合意がどうなるかは、見守ることになる」と語った。
(6):大型減税法案 米下院から大統領へ
米下院はトランプ大統領が推す大型の減税・歳出法案を可決し大統領に送付した。トランプ大統領は米東部時間4日午後(日本時間5日早朝)に署名式を行う予定となっている。米議会予算局(CBO)はこの法案によって、今後10年間で米国の財政赤字が3兆4000億ドル(約493兆円)増えると試算している。
3日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:動意欠く展開
昨日のドル/円は終値ベースで約0.9%上昇。米6月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率は予想外に低下したことを受けて一時145円台へと上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月24日に下院での議会証言で「インフレが低下し、労働市場が軟化した場合は早期の利下げも有り得る」と発言していたが、強い米6月雇用統計の結果を受けて短期金利先物で見る7月の利下げ織り込みは25%前後からほぼゼロ%へ後退した。
本日は独立記念日のため米国の株式、債券市場が休場となる。また外国為替市場もNY勢が不在となることから、トランプ関税に関する突発的なニュースなどがなければ、ドル/円相場は動意を欠く展開となりそうだ。
注目の経済指標:特になし
特になし
注目のイベント:ユーロ圏要人発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。