ラガルド総裁の会見でユーロは売り強まる ドル円は再び134円台に戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って再び134円台に戻している。ロンドン時間には戻り売りが強まり、133円台前半まで下落していた。きょうのECB理事会や明日の米消費者物価指数(CPI)といったリスクイベントを前に投機筋が円ショートを解消していたとの観測も出ていた。134円付近のストップロスを付け、円高を誘発したようだ。
ただ、ドル円の上値期待は強く、135円台を目指す流れは堅持している。FRBの積極利上げへの期待の一方、日銀の緩和継続姿勢も強いことから、ドル円はもう一段の上昇が見込まれているようだ。
市場の一部はFRBの政策金利が現在の0.75-1.00%の範囲から来年には3.25%でピークに達すると予想している。いまのところ米消費が持ち堪えており、FRBの引き締めサイクルに待ったをかけるにはまだ早いとも思われている。
ユーロドルは売りが優勢となり、1.06ドル台前半まで下落。本日の21日線は1.0635ドル付近に来ており、その水準を下回ってきている。この日のECB理事会を受けて上下動した末に売り優勢となった。ECBの声明では7月の0.25%の利上げ開始を明確に打ち出され、9月についても利上げの意向を示したが、「中期的なインフレ期待が持続または悪化した場合」には0.50%ポイントの大幅利上げの可能性も示唆した。
この声明を受けて市場は9月の大幅利上げを確信。現状からはユーロ圏の消費者物価指数(HICP)が9月8日の理事会までに落ち着くとは思われず、大幅利上げは間違いないと考えたようだ。
ユーロドルは声明を受けて買いが強まり、1.0775ドル付近まで上昇したが、その後のラガルドECB総裁の会見を受けて、一気に戻り売りが強まっている。総裁は9月の利上げの可能性が高いことを示唆する一方で、政策の完全な任意性を維持することを目指していることを強調した。9月の大幅利上げが保証されるという市場の期待を弱めている。
きょうはECB理事会に市場の焦点が集まった中でポンドは蚊帳の外といった雰囲気の中、ポンドドルは狭い範囲での値動きに終始。
英中銀は来週6月16日の金融政策委員会(MPC)で政策金利をさらに0.25%ポイント引き上げ、1.25%にする可能性が高い。しかし、これはポンドの大きな支えにはならないとの指摘も聞かれる。これまでの値動きが何らかの指針を示しているとすれば、ポンドは追加利上げの恩恵を受けるのに苦労するという。
世界市場に横たわっている背景が、ポンドを含むG10通貨に支配的な力を及ぼしていることを示唆しており、世界の為替のボラティリティは依然として高い。それはしばしばポンドにとって厳しい逆風となることに注視しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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