ドル円、147円台に下落 不安定な中で円高が続く=NY為替概況
ドル円、147円台に下落 不安定な中で円高が続く=NY為替概況
きょうもNY為替市場は、情勢が不安定な中で、円高の動きが優勢となり、ドル円は147円台に下落。一時147.30円近辺まで下げる場面も見られた。テクニカル的にも天井を形成しそうなチャートが示現しており、このまま反転できないようであれば、140-145円のゾーンを試しそうな雰囲気が出ている。
春闘における連合側の賃上げ要求が伝わっており、32年ぶりに6%を超えたと発表。組合員300人未満の中小も6.5%程度の高さとなっている。ベアはそれぞれ4.5%、5.0%。最終的に5%台前半程度で着地するとの見方も出ているようで、それを受けて日本の10年債利回りは1.53%まで上昇しており、円高の原動力となっているようだ。
日銀の利上げについても、さすがに一時期海外勢中心に高まっていた今月の利上げはないと見られているが、情勢次第では5月か6月の可能性は排除できないと見ている模様。コンセンサスは7月か9月。
途中、トランプ大統領がUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した全ての商品について、カナダとメキシコへの関税を猶予する可能性が高いと述べたことで、ドル円は148円台に戻す場面も見られたものの、あくまで4月2日までの暫定的な措置で、米株式市場も大幅安となったことから、ドル円も147円台に再度戻している。
ユーロドルは買い戻しが加速し、昨年11月以来の1.08ドル台を回復。本日はECB理事会が開催され、予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施した。ただ、ECBは声明で「金利水準は景気抑制の度合いが有意に低下しつつある」と述べ、中立金利に接近しつつあることを示唆した。これを受けて市場はECBの年内利下げ期待を後退させており、ユーロドルは1.0840ドル近辺まで一時上昇。短期金融市場では年内あと2回の利下げを完全には織り込まない水準まで後退させている。
一部の報道では、理事会内で見解が割れており、4月の理事会は激論になると伝えていた。ハト派の理事は利下げを見送る理由はほとんどないと考えている一方、タカ派の理事は地政学的リスクや欧州の国防費増額の影響を検証するため、一旦利下げを見送る方向に傾いているという。
エコノミストからは、ユーロ圏の成長改善とディスインフレの鈍化を見込んでいることから、追加の利下げ余地は小さくなっているとの指摘も出ている。
きょうのポンドは蚊帳の外といった雰囲気で、ポンドドルは1.29ドルを挟んでの上下動に終始した。ただ、200日線の上はしっかりと維持しており、リバウンド相場を加速させている状況に変化はない。
アナリストからは、英国債利回りとユーロ債利回りが上昇する中、ポンドは下落リスクに直面しているとの指摘が出ている。3月26日の予算編成を控えてリーブス英財務相は頭を痛めているという。ドイツが大胆な財政拡大計画を打ち出していることから、ドイツ国債利回りが急上昇し、それは英国を含む他の欧州債利回りにも影響を及ぼしている。このことが、同財務相が直面している「トレードオフの不快なセット」をより強調しているという。
また、リーブズ財務相は福祉予算を削減すると報じられているが、このようなニュースはポンドにとってマイナスだとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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