FX/為替「ドル/円、注目の米雇用統計!市場は悪化を警戒」 外為どっとコム トゥデイ 2025年3月7日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年3月7日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼6日(木)の為替相場
(1):豪貿易収支予想を下回る
(2):春闘賃上げ要求 32年ぶり6%超え
(3):ECB、5会合連続利下げ決定
(4):米貿易赤字過去最大
(5):トランプ米大統領、関税の発動を延期
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米雇用統計が悪化ならドルの続落は免れない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
6日(木)の為替相場
期間:6日(木)午前7時10分~7日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易収支予想を下回る
豪1月貿易収支は56.20億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(59.00億豪ドル)を下回った。一方、同時に発表された豪1月住宅建設許可件数は前月比+6.3%と市場予想(±0.0%)を上回った。
(2):春闘賃上げ要求 32年ぶり6%超え
日本の労働団体である連合は、2025年の春闘における労働組合の賃上げ要求の平均が+6.09%になったと発表。要求が6%を超えるのは32年ぶりとのこと。これを受けて日銀の利上げ観測が強まると円が全面的に上昇した。
(3):ECB、5会合連続利下げ決定
欧州中銀(ECB)は大方の予想通りに政策金利のひとつである預金ファシリティ金利を2.75%から2.50%に引き下げた。利下げは5会合連続となる。声明では、利下げにより企業や家計の借入コストが低下し融資の伸びが加速する中、「金融政策は実質的に制約的ではなくなりつつある」と表明。従来の「金融政策は制約的である」から表現を変更した。ECBが、政策金利は中立水準に近付いたとの認識を示したとの見方からユーロは一時上昇。対ドルでは4カ月ぶりの高値を付けた。ただ、ドル/円が約5カ月ぶりに147円台へ下落した影響でユーロ/円の上値は限定的だった。なお、ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「インフレ鈍化は順調に進んでいる」との認識を示しつつも、金融政策については「我々は事前に約束することはなく、これまで通りデータに依存し、会合ごとに決定する」との姿勢を維持した。
(4):米貿易赤字過去最大
米新規失業保険申請件数(3月1日までの週)は22.1万件と市場予想(23.3万件)を下回り、前週(24.2万件)から減少。同時に発表された米1月貿易収支は1314億ドルの赤字と、赤字額は過去最高となり、市場予想(1288億ドルの赤字)を上回った。トランプ政権による関税賦課を前に駆け込みで輸入が増加したと見られる。
(5):トランプ米大統領、関税の発動を延期
米国のラトニック商務長官は、トランプ大統領が「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した全製品に対する関税を延期する可能性が高い」と発表。その後トランプ米大統領は実際に、4月2日まで関税の発動を延期することを決めた。
6日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:注目の米雇用統計 市場は悪化を警戒
昨日のドル/円は約5カ月ぶりに147円台前半へと下落した。日本最大の労働団体、連合の賃上げ要求が32年ぶりに6%を超えたことで日銀の利上げ観測が高まると円が全面的に上昇。米国の景気減速懸念を背景にドルが続落したことも相まって、昨年10月4日以来の安値となる147.31円前後まで下値を切り下げる場面があった。その後は大幅安の反動でショートカバーが入り、前日比85銭ほどドル安・円高の147.98円前後でクローズ。
本日は米2月雇用統計に市場の関心が集まっている。市場予想は非農業部門雇用者数が16.0万人増、失業率は4.0%と、いずれも前月並みの予想値だ。ただ、5日の米2月ADP全国雇用者数や昨日発表された米2月チャレンジャー人員削減数など、このところ米労働市場の軟化を示す経済指標が散見されることから、市場は米2月雇用統計の悪化にも警戒感を抱いているようだ。悪化ならドルの続落は免れないだろう。
ドル/円の下値メドは、昨年9月から今年1月の上げ幅の61.8%押しにあたる146.90円台と見ている。一方で、市場が悪化を警戒しているだけに予想以上に良好な雇用統計であればドルの反発も予想以上の大きさとなる可能性がある。日足一目均衡表の転換線が通る149.30円台が上値のメドだろう。なお、米金利先物が織り込む年内の利下げ回数(1回25bp刻みで換算)は、ここ2週間で1.5回から3回へと倍増。
雇用統計の発表後に行われるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演にも注目だ。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:パウエルFRB議長講演
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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