FX/為替「ドル/円、下値リスク残る 61.8%押しのサポートに注目」 外為どっとコム トゥデイ 2025年3月10日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年3月10日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(金)の為替相場
(1):中国貿易収支は予想を上回る
(2):ユーロ圏GDP 上方修正
(3):米雇用統計は予想を下回る
(4):FRB議長 利下げを急がない姿勢強調
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:下値リスクが残っていると見るべき/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(金)の為替相場
期間:7日(金)午前7時10分~8日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国貿易収支は予想を上回る
中国1-2月貿易収支は1705.1億ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(1475.0億ドル)を上回った。輸出が前年比+2.3%だった一方、輸入は-8.4%だった。なお、対米貿易黒字は490億ドル余りと前年比+3.7%であった。
(2):ユーロ圏GDP 上方修正
ユーロ圏10-12月期域内総生産(GDP)・確報値は前期比+0.2%と改定値の+0.1%から上方修正された。アイルランドのGDPが-1.3%から+3.6%へ大幅に改定されたことが主因となった。
(3):米雇用統計は予想を下回る
米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比15.1万人増と市場予想(16.0万人増)に届かなかった。失業率は4.1%と前月(+4.0%)から上昇。市場予想も4.0%だった。また、平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.0%(予想+0.3%、+4.1%)だった。
(4):FRB議長 利下げを急がない姿勢強調
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「米経済は良好な状態にある」との認識を示した上で利下げを急がない姿勢を強調。「私たちは急ぐ必要はなく、より明確になるまで待つことができる、よい状況下にいる」と述べた。パウエル議長の発言によって、2月雇用統計を受けて低下していた米長期金利は上昇に転じた。下落していた米国株も上昇に転じたことから、ドル/円やクロス円に買い戻しが入った。
7日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:下値リスクが残っていると見るべき
7日のドル/円は5カ月ぶり安値を更新後に持ち直す。米2月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回る伸びにとどまり、失業率が上昇したことを受けて昨年10月4日以来の安値となる146.94円前後まで下値を拡大した。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米経済は良好な状態にあるとの認識を示した上で利下げを急がない姿勢を強調するとドルを買い戻す動きが広がり148円台を回復。終値は前日比ほぼ横ばいの148.01円前後だった。なお、週明けの本日は147円台半ばへと円買いが先行している。週末にはトランプ米大統領が米経済は過渡期にあるとして景気減速リスクを否定しなかったほか、ラトニック商務長官は鉄鋼・アルミニウム関税を予定通りに12日に発動する考えを示した。朝方に発表される本邦1月勤労統計にも、日銀の利上げ観測に絡んで市場の注目が集まっている。こうした中、ドル/円は本日も下値リスクが残っていると見るべきだろう。7日安値146.94円前後は、昨年9月から今年1月の上げ幅の61.8%押し水準でもある。まずは、この水準で再びサポートされるか注目したい。仮に下抜けるようだと心理的節目の145.00円まで下値余地が拡大しそうだ。
注目の経済指標:独鉱工業生産
注目のイベント:独連銀総裁講演
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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