とれんど捕物帳 気がつけばドルは高金利通貨 ドル高・株高もドル円の上値重い

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 今週の相場の最大の特徴はドル高・株高であったにもかかわらずドル円の上値が重かったことであろう。週半ばの24日水曜日付のNY時間の午後、日本時間では25日未明だったが、突如買いが強まり112.40円近辺まで一気に上昇する場面があった。ただ、その動きも短命に終わり、次の日には逆に売りが強まり200日線を割り込む場面も見られた。

 日本の10連休に絡んだ動きも一因としてあったのかもしれない。FX取引では24日(水)から25日(木)にポジションを持ち越せば、11日分のスワップポイントが付与された。業者にもよるが、概ね1万通貨あたり1000円といったところだ。10万通貨なら1万円となる。ロングで受け取る方はハッピーだが、ショートで払う方は結構痛い。損益に引き直せば10銭分なので、スウィング・トレードなどを嗜好している短期の投資家にとっては大きかったであろう。度々言及しているが、気がつけばドルは高金利通貨であることを改めて思わされる。 

 そのドル買いの動きだが、イースター明けから突如強まっている。改めて米経済の状況を検証し直したのかもしれない。原動力は何といっても米株式市場の情勢であろう。1-3月期の決算が盛んに発表されているが、無難な反応を見せている。昨年のクリスマス明け以降、米株式市場は買い戻しが続き、今回の決算がその買い戻しを正当化するのか注目されていた。今週までのところ、産業株にはややネガティブな反応も見られるが、ITは力強い反応が出ている。ダウ平均はまだだが、S&P500やナスダックは最高値更新の動きが出ている状況。

 この動きを見て、米景気の先行き警戒感が緩んでいるのかもしれない。米国債のイールドカーブもスティープ化の動きが出ている。FRBは慎重姿勢に転じており、前回のFOMCで政策メンバーの年内の金利予想は据え置きが中心となっていた。その動きを見て市場では利下げを織り込む動きも出ていたが、現在の市場を見た限りでは利下げまでは時期尚早と思われる。

 今週、米大手金融による、保険会社307社の運用責任者へのアンケート調査が公表されていたが、35%が最大の懸案事項は米景気減速と米景気後退で、昨年の24%から割合が増えていた。更に82%が2020年か21年にそれが起こると見ているようだ。ただ、今年の米景気後退はないと見ている模様。概ね賛同する見方ではある。

 世界経済は米国の一人勝ちの状態が続いており、逆にECBも日銀も追加緩和が見込まれる状況。財政均衡化を過度に重んじ内需拡大に努めず、中国経済に依存したツケが出ているのかもしれない。金融政策の格差が、気がつけば高金利通貨のドルに資金を向かわせているようだ。

 ただし、この動きが続くかどうかは未知数。ドルのバリュエーションがかなり高くなっていることもまた事実であることは留意して置きたいところではある。

 週末の米GDP速報値は予想を大きく上回るかなり強い数字となったがドル買いの反応を見せていない。個人消費の低水準の伸びや、インフレ指標の鈍化傾向に逆にドル売りの反応が強まっていた。

 さて来週だが、東京市場は10連休、実は中国も週後半は連休となる。アジア時間は市場参加者も少なくなりそうだ。ただ、重要イベントは多く、FOMC、米雇用統計のほか、米中貿易協議なども予定されている。

 FOMCについては特に方向感に変化があるとは思われず、少なくとも利下げの可能性を強調することはないものと思われる。ただ、超過準備の付利(IOER)を0.05%引き下げてくるとの観測も出ているのでこの辺は注意が必要。市場でのFF金利の取引のボラティリティが上昇しており、テクニカル的な対応の一環と思われる。

 今年から毎回パウエル議長の会見があるが、内容次第では動く可能性もあるが、「忍耐強くいられる」「どちらにも行動する可能性がある」と中立スタンスを強調して来るものと思われる。

 ドル円は年初の正月休みにフラッシュクラッシュを起こし、一時104円台まで急落する場面があった。大型連休ということもありリスクが意識されるところではあるが、米景気の先行きに対する懸念が緩んでいることもあり、正月のようなことはないのではと期待したい。しかし、「Sell in May」という相場の格言もあるので、突如リスク回避の動きが強まる可能性には注意したい。

 相場の流れはドル高と言いたいところではあるが、上記の通りドルのバリュエーションがかなり高くなっていることもまた事実で、過熱感も出ている。少し調整の動きが出ることも留意される。

 来週のドル円の予想レンジとしては、200日線を軸として、110.50~112.50円を想定。スタンスは「やや強気」から「中立」に変更したい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓(↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓(↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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執筆者 : MINKABU PRESS

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