ドル円、パウエル会見を受けて145円台に戻す=NY為替概況
ドル円、パウエル会見を受けて145円台に戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は再び144円台に下落して始まったものの、午後のFOMCとパウエル議長の会見を受けて145円台に戻している。FRBは大方の予想通りに政策金利を据え置いたが、注目されていた委員の金利見通し(ドット・プロット)の中央値は、予想外に年内2回の利下げ予想を維持していた。市場は1回に変更されると見ていた。ただ、委員の見方は二分しており、一部からは、FOMCは利下げを急ぐ必要性を感じていないのではとの見方も出ていた。
また、その後のパウエル議長の会見では、関税のインフレへの影響が強調され、議長は「関税がインフレに及ぼす影響は根強い可能性がある」との認識を示し、ドルの買い戻しとともにドル円も145円台に戻す展開。ただ、145円台の上値抵抗は依然として強そうな中、明日以降、維持できるか注目される。
ユーロドルも後半に売りが優勢となり、1.14ドル台に値を落とす展開。本日の21日線が1.14ドル台前半に来ており、明日以降その水準を試しに行くか注目される。
この日は5月の消費者物価指数(HICP)の確報値が公表されていたが、速報値と変わらない内容となった。総合指数は前年比1.9%とECBの目標である2%を下回っている。特にサービス関連コストの圧力緩和でコアインフレの鈍化が確認されたことはECBにとって心強い内容。
しかし、基調インフレ指標には目立った改善は見られず、今回のインフレ鈍化は前月に特定のサービス分野で物価を押し上げていたイースター関連の一時的要因が解消されたに過ぎないとの指摘も出ている。今後については、コスト圧力のさらなる緩和が予想されるものの、最近の進展の停滞は懸念材料だとしている。それでも、賃金上昇の鈍化や関税による抑制効果など、ディスインフレ方向への見通しを支持する要因もいくつか残っているという。
きょうの為替市場はトランプ大統領の「イランが接触して来た」との発言をきっかけにドル安が優勢となっている。ポンドドルもNY時間に入って買い戻しが出ており、1.34ドル台後半まで一時上昇する場面も見られた。
ポンドドルも1.34ドルちょうど付近に下落。21日線を下放れる動きも見られているが、まだ上昇トレンドが崩れそうな気配までは出ていない。ただ、ストラテジストからは、英国の政策不透明感とリスク回避がポンドの重しになる可能性が指摘されている。
ポンドはイスラエル・イラン紛争の中、英国の政策不透明感とリスク回避の厄介な組み合わせに直面していると指摘。英中銀は今週木曜日の金融政策委員会(MPC)で金利を据え置くと見られており、特に最近の原油の急速な上昇を踏まえた、英中銀のトーンに注目が集まっているという。
市場は今年2回の利下げを織り込んでいるが、同ストラテジストはこの見通しに加え、英国の弱い経済指標とFRBの高金利の長期化姿勢により、ポンドの利回り優位性が損なわれていると指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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