ドル円は157円台を回復 2025年も上昇が期待される=NY為替概況
ドル円は157円台を回復 2025年も上昇が期待される=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は157円台を回復。ロンドン時間には前日の流れが加速し、一時156円台前半まで下げ幅を拡大していた。
直近のドル円の下落はあくまで年末のポジション調整の範囲で、ドル円は来年も上昇が期待されており、7-9月期にドル円を下落させた円キャリー取引の大規模な巻き戻しはないと見られている。実際、前日に米商品先物協会(CFTC)が発表した建玉報告によると、レバレッジ・ファンド勢の円ショートは拡大していた。
主要各国が利下げの中、主要国で唯一利上げを実施している日銀だが、来年も今年以上に注目が集まりそうだ。最近の日銀からの発言で1月の利上げ期待が後退。一部のアナリストからは、2025年末までに政策金利が1%に達するとの見方も一部ではあるようだが、それは行き過ぎだとの指摘も出ていた。
ユーロドルは1.03ドル台半ばまで下落。2024年の最安値は11月に付けた1.0335ドル付近だが、その水準を試す動きが続いている。2025年はECBとFRBとの金融政策の格差および、トランプ新政権によるユーロ圏への関税政策への警戒感もあり、ユーロは軟調な展開が継続するとの見方が強まっている。早い時期にパリティ(1.00ドル)を試すとの声も少なくない。対中強硬策もユーロ圏経済にとっては良い話ではない。
また、ここに来てフランス政治への懸念がユーロの重石となっており、仏独の国債利回りスプレッドも拡大している。バイル新首相が誕生し、新たに政権が発足したが、同国の財政赤字削減を目指した予算案に対する十分な支持を集めることができないのではと懸念している。フランスの財政赤字が拡大し続けることは一般的にユーロにとって良いニュースではない。
ポンドドルは1.25ドル台前半に値を落とした。しかし、対ユーロでは上昇。1.25ドルは下値サポートとなっているようだが買い戻す気配もなく、チャート的にはもう一段の下落の可能性もありそうな雰囲気となっている。
英中銀は今月の金融政策委員会(MPC)で利下げを見送ったが、市場では追加下げへの期待は根強い。早ければ次回2月の可能性も高く、短期金融市場では65%の確率で織り込んでいる状況。
ただ、利下げが実施されたとしても、恐らく全会一致ではなさそうだ。9名のうちディングラ、テイラー、ラムスデン各委員はすでに12月に利下げを求めており、2月も同様と思われる。ベイリー総裁は段階的な利下げを最も明確に主張しており、来年は4回の利下げが基本シナリオとなっていることから可能性は高い。他の委員も利下げに変更する可能性は十分にありそうだ。
しかし、少なくともタカ派の急先鋒であるマン委員は、インフレが鎮静化する明確な証拠が得られるまでは据え置きを主張しており、2025年の4回の利下げは積極的過ぎると警告していることから、姿勢に変更はなさそうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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