【これからの見通し】トランプ・ショックは一時的か、原油急伸は一服 為替はドル買いに円売り
【これからの見通し】トランプ・ショックは一時的か、原油急伸は一服 為替はドル買いに円売り
先週末に米国がイランの核施設に対して「バンカーバスター」を使用する攻撃を実施した。2週間の期限が示唆されていただけに、突然の攻撃に市場は虚を突かれた格好。週明けには原油相場が値を飛ばして上昇。為替市場ではリスク警戒のドル買いの動きが広がった。ただ、原油相場は急速に上げ幅を縮小しており、パニック商状は落ち着いた。株式市場でも総じて下げ幅を縮小、上海・香港株は上げに転じている。為替市場ではドル円が引き続き上昇するなかで、クロス円も買われる「円売り相場」の様相を呈している。
円売り相場に関しては、過度のリスク警戒が一服したとの説明もつきそうだが、これにはやや疑問も残る。イラン議会はホルムズ海峡封鎖を議決しており、イランの報復攻撃が中東各国に展開している米基地に向かうことも考えられる。イスラエルが攻撃の手を緩める兆候もまだみられない。日米金利差縮小の観測が後退していることや、中東情勢が日本経済に与える負の影響への懸念などネガティブな円安の面もあるのかもしれない。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国などの製造業および非製造業PMI速報値(6月)が中心となりそうだ。加えて、米国では中古住宅販売件数 (5月)も発表される。PMI速報値は英欧は全般に小幅改善に見込まれている。一方、米国ではやや悪化する予想となっている。ただ、米国の総合PMI予想は52.1と、ユーロ圏や英国の50.5よりは高い水準である点も指摘される。反応しにくい結果内容となりそうだ。
発言イベント関連では、ウォラー米FRB理事、ラガルドECB総裁、ボウマン米FRB理事、ナーゲル独連銀総裁、グールズビー・シカゴ連銀総裁、クーグラーFRB理事、ウィリアムズNY連銀総裁など米欧の金融当局者の講演や会合出席が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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