ドル円は150円付近 円キャリー取引への期待は根強い=NY為替
NY時間の終盤に入ってドル円は150円ちょうど付近での推移となっている。この日の米雇用統計を受けた米国債利回り低下とドル売りでドル円は一時149.40円付近まで下落する場面が見られた。しかし、米雇用統計の動きが落ち着くと買戻しも入っている。ただ、150円台により慎重になっているようだ。
投資家の円キャリー取引への期待は根強い。日銀の利上げ観測が高まっているが、米国との絶対的な金利差は大きく、来年に入って徐々に日銀の利上げ期待が収束して行けば、円キャリー取引は復活すると見ているようだ。
金利差、米国債の発行増による売り(利回り上昇)、為替市場の低ボラティリティなどを背景に、円キャリー取引は来年にさらに活発化するとの見方も出ている。
ストラテジストは、円がキャリー取引の調達通貨として使われない理由があるとすれば、ボラティリティが高まることぐらいかもしれないと述べている。その点で言えば、来年のトランプ政権は要注意とも言える。関税による貿易摩擦の悪化で世界経済が変調をきたすようであれば、市場はリスクと捉える可能性もありそうだ。もっとも、その場合は日銀も利上げできなくなる。また、地政学リスクは来年も存在しそうだ。
円キャリー取引の戦略は非常に利益率が高いという実績もある。主要通貨および新興市場通貨10種類を対象とした円キャリー取引は、2021年末以来45%のリターンを達成している。再投資の配当金を考慮したS&P500指数のリターン32%を上回っている状況。そのため、円ショートの投資家は加速度的に増え、今年7月末には216億ドルに達した。
日銀の利上げは、日米の金利格差を埋めるには不十分で、米財政状況はトランプ政権の最重要課題の1つであることも明らか。そのような中で円キャリー取引が魅力的なままでいる余地は十分にあるという。
USD/JPY 149.99 EUR/JPY 158.35
GBP/JPY 191.06 AUD/JPY 95.80
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。