ドル売り優勢 ドル円は156円台半ばまで一時下落=NY為替概況
ドル売り優勢 ドル円は156円台半ばまで一時下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は156円台半ばまで一時下落した。この日の第1四半期の米GDP改定値が個人消費の鈍化で下方改定になったことがドルの戻り売りを誘発。米国債利回りも低下しており、ドル円も戻り売りに押されている格好。本日はウィリアムズNY連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁の発言が伝わっていたが、比較的ハト派な発言だったこともドルを圧迫した。
本日は円の買い戻しも見られ、ドル円のみならずユーロ円やポンド円も戻り売りに押された。本日も株安が続いており、前日には見られなかったリスク回避の円買いが出ているとの指摘も出ている。月末接近で市場は調整色を強めているが、株安と伴に個人投資家中心に円ショートの巻き戻しが出ているのかもしれない。
ドル円は基本的に米国債利回りに沿った値動きを続けており、直近の利回り上昇がドル円を下支えしている。ただ一部からは、直近の米国債利回りの上昇は新たなトレンドを示唆していないとの指摘も出ている。米長期金利への期待は比較的安定しており、過去のような新たなトレンドの始まりにはならないという。
また、明日のPCEデフレータに市場の注目が集まっているが、インフレに関してはよりタイムリーな消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)がすでに発表になっているため、それで米国債が売られ、利回りが上昇するには限界があるという。
ユーロドルは前日の下げを取り戻す動きが出て、1.08ドル台を回復。きょうの上げで200日線や100日線を維持しており、4月中旬以降のリバウンド相場の流れにかろうじて踏み留まってる。
来週はECB理事会が開催され、0.25%ポイントの利下げが確実視されている。市場では6月の利下げ後もECBは追加利下げを実施して行くのか、そのヒントに注目している。短期金融市場では6月を含めて年内に2回か3回の利下げを見込んでいる状況。
ただ、足元の経済指標は強い内容が出ており、本日発表の4月のユーロ圏失業率も6.4%と過去最低水準に低下し、雇用市場がECBの想定以上に堅調であることが示されていた。明日は5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になるが、前年比では前回同様の水準が見込まれている。前日のドイツ消費者物価指数は予想を上回る内容であったが、ユーロ圏も予想を上回る内容であれば、追加利下げの期待は後退する可能性もありそうだ。
ポンドドルも前日の下げからの買い戻しが膨らんだ。一時1.26ドル台まで下落していたが、1.27ドル台半ばに戻す展開。目先は1.28ドルちょうど付近が強い上値抵抗として意識される。
一部からは、英中銀は賃金の伸びとインフレが望ましい水準を上回っていても8月に利下げを開始する可能性があるとの見方が出ている。英中銀は利下げ開始後でも金利は制限的であると考えているため、賃金上昇率と基調インフレが目標に沿った水準から大きく離れている場合でも、緩和を開始することができるという。
短期金融市場では現在、英中銀が9月までに利下げを実施する確率を50%前後、11月までならほぼ完全に織り込んでいる状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。