ドル円、先週の急速な売りは一服も上値は依然重い=NY為替概況
ドル円、先週の急速な売りは一服も上値は依然重い 明日は米CPI=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は先週の急速な売りは一服したものの、買い戻す気配まではなく上値は依然重い。本日は一時146円台半ばまで下落し、146円台前半に来ている200日線をうかがう展開も見られていた。しかし、先週の急ピッチな下げで短期的な過熱感も出ており、200日線を前に値ごろ感の買いが出たのかもしれない。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは34まで低下している。30を割り込むと売られ過ぎのサイン。
先週はパウエルFRB議長の議会証言、米雇用統計と重要イベントを通過したが、パウエル議長の証言は大方の予想通りに「年内利下げの意向ではあるものの、もう少しデータを確認したい」姿勢を強調していた。米雇用統計も落ち着きは示したものの、まだ力強かったことから、FRBのスタンスを追認する内容と捉えられたようだ。
ただ、為替市場はドル高の反応は見せなかった。それに加えて、日銀が今月の決定会合でのマイナス金利解除の観測が強まったことから、ドル円のロング勢も見切り売りを強めたようだ。
明日は米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。前月比で0.5%の上昇と8月以来の伸びが見込まれている。市場がどう反応するかは未知数だが、予想を下回るようであれば、ドル円は200日線をブレイクし、145円を試しに行くか警戒される。
*米消費者物価指数(CPI)(2月)12日21:30
予想 0.5% 前回 0.3%(前月比)
予想 3.1% 前回 3.1%(前年比)
予想 0.3% 前回 0.4%(食品・エネルギー除くコア・前月比)
予想 3.7% 前回 3.9%(食品・エネルギー除くコア・前年比)
ユーロドルはNY時間に入ってやや伸び悩んだものの、1.09ドル台は維持。ドルの戻り売りの流れの中で、ユーロドルは200日線の上でのしっかりとした推移が続いている。しかし、心理的節目の1.10ドル台には依然として慎重。
一部からは、ECBの利下げシグナルがユーロの上値を抑えている可能性が指摘されている。ラガルドECB総裁は先週の理事会後の会見で、早ければ6月にも利下げを実施する可能性を示唆した。短期金融市場では、ECBが年内に計1.00%ポイントの利下げを実施するとの見方が示されている。一方、FRBは計0.75%ポイントに留まり、それがユーロドルの上値を制限する可能性に言及している。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、1.28ドルを一時割り込む場面も見られた。ただ、1.28ドルを割り込むと押し目買いも入るようだ。
ポンドに関しては明日の英雇用統計が注目される。特に週平均賃金上昇率は、英中銀にとってサービス・インフレに次いで重要な指標となっている。予想(除賞与)では前年比6.2%と前回同様の水準が見込まれている。賃金上昇は鈍化はしているものの、なお高水準にあり、英中銀のインフレ懸念を後退させることはないようだ。失業率も3.8%と前回同様の水準が見込まれている。
*ILO失業率(11-1月平均)12日16:00
予想 3.8% 前回 3.8%
*週平均賃金
予想 5.7% 前回 5.8%(前年比)
予想 6.2% 前回 6.2%(除賞与・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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