米CPIを受けてドル円は150円を突破 米利下げ期待の修正を迫られる=NY為替概況
米CPIを受けてドル円は150円を突破 米利下げ期待の修正を迫られる=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル高が強まり、ドル円は150円台後半に一気に上昇した。この日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことでドル高の反応が強まり、ドル円は150円を突破。ストップを巻き込んで一気に150円台を駆け上がった。150円を突破したことで、ショートカバーが活発化しているほか、テクニカル勢も新規の上値追いに動いた模様。
米CPIは、総合指数が前年比3.1%、コア指数が3.9%と、両方とも予想を上回った。コア指数の前月比は0.4%の上昇と過去8カ月で最も高い数値となり、ディスインフレへの道のりの険しさを浮き彫りにした。また、FRBが注視しているとされる住居費を除くサービス業のインフレ、いわゆるスーパーコアも前月比0.8%の大幅上昇となった。
市場の早期利下げ期待を正当化する内容ではなく、市場は利下げ期待の大幅な修正を迫られている。短期金融市場では3月利下げの可能性がほぼ無くなったほか、5月の可能性も40%以下に大きく後退。6月までなら80%程度、完全織り込みは7月以降にずれ込んでいる。
本日の米CPIはFRBのタカ派姿勢を裏付ける内容となったが、市場の織り込みは別にして、エコノミストの間では、夏以降から利下げを開始し、年内は0.25%ずつ3回の利下げにシナリオをシフトさせている模様。
ユーロドルも売りが強まり、一時1.27ドルちょうど付近まで下落。きょうの下げで100日線を下放れる展開が見られているが、目先は1.27ドル台を維持できるか注目される。そこを完全にブレイクするようであれば、年初からの下げトレンドが加速しそうだ。
今週は第4四半期のユーロ圏GDP改定値が発表される。ゼロ成長が確認され、テクニカルリセッション(景気後退)は辛うじて回避される見通しとなているが、エコノミストの間では、ユーロ圏が今後、景気後退に陥る確率は3分の2程度で見ており、米英の約50%に比べて高い。その意味でもECBがFRBや英中銀よりも早期の利下げ開始の期待は高い。
ポンドドルも売りが強まり、。一時1.2575ドル付近まで下落し、本日1.2565ドル付近に来ている200日線をうかがう場面も見られた。
ただ、米CPIの発表前まではポンドドルは堅調に推移し、1.26ドル台後半まで上昇する場面も見られていた。この日発表の英雇用統計が予想を上回る内容となり、ポンドを押し上げていた。10-12月の平均失業率は3.8%と予想外低下し、平均賃金も予想を上回る伸びとなった。きょうの英雇用統計は労働市場のひっ迫が続いていることを示唆している。
インフレに対する警戒が緩和しそうにはなく、英中銀が直面する課題の大きさを浮き彫りにしているが、平均賃金は前回から大幅に鈍化はしており、賃金インフレの冷え込みは示唆されていた。この点は英中銀に安心感を与えるのかもしれないが、本日のデータは進展する経済情勢の中で、英中銀が直面している複雑さも強調している。
*英雇用統計(10-12月平均)16:00
・ILO失業率
結果 3.8%
予想 4.0% 前回 3.9%
・雇用者増減
結果 7.2万件
予想 5.0万件 前回 10.8万件
・平均時給
結果 5.8%
予想 5.6% 前回 6.7%(6.5%から修正)(前年比)
結果 6.2%
予想 6.0% 前回 6.7%(6.6%から修正)(賞与除・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。