米雇用統計とISM指数でドル円は激しく上下動=NY為替概況
米雇用統計とISM指数でドル円は激しく上下動=NY為替概況
きょうのNY為替市場、朝方発表の米雇用統計を受けてドル買いが強まり、ドル円は一時146円手前まで急上昇する場面が見られた。ただ、今年に入ってドル円は急速に上昇していることもあり、上値では短期筋の利益確定売りが出ている。米雇用統計発表後に短期金融市場では3月利下げ開始の確率が半々まで低下させていたが、その後のISM非製造業景気指数が予想を下回り、判断基準の50に接近したことで、再び早期利下げ期待が高まり、3月の利下げ開始の確率が70%まで戻す展開。ドル円は146円付近まで急上昇後に、今度は143円台に急速に下落している。
ただ、本日の米雇用統計は予想以上に米労働市場の力強さを示した。非農業部門雇用者数(NFP)は21.6万人増と基準値の20万人を超え、失業率も3.7%の低水準を維持している。また、平均時給も予想を上回る伸びを示し、3月の利上げ開始期待に黄色信号を点灯させる力強い内容ではある。
ユーロドルはNY時間に入って激しく上下動した。強い米雇用統計を受けて1.0880ドル近辺まで下落した後、今度はISM指数が弱い内容となったことで、一気に1.10ドル付近まで買い戻された。経済指標の数字的にはドル売りを強める内容ではなかったように思われるが、市場はFRBの早期利下げ期待とドル安を欲しているのかもしれない。
本日は12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の速報値が発表されていた。エネルギー価格の前年のベース効果で総合指数は大きく上昇し、コア指数も前回から鈍化しているものの、前年比3.4%となお高い水準ではある。
エコノミストからは今回のユーロ圏のインフレ指標はECBによる早期の利下げをあまり正当化していないといった声も聞かれる。サービス価格は依然としてECBにとって問題児だが、12月は11月と同じ4.0%の上昇となっていた。また、企業は依然として値上げを望んでおり、労働市場も引き続き堅調で、賃金コストは上昇しているという。
きょうのポンドドルは米雇用統計を受けて一旦1.26ドル台前半に下落したもの、その後はドル売りが強まり、1.27ドル台に戻している。ポンドドルは21日線付近での方向感のない展開が続いている状況。
英住宅価格が12月に3カ月連続で上昇し、住宅市場が崩壊しかねないとの懸念は行き過ぎだったことを示すさらなる証しとなった。住宅金融大手ハリファックスのデータによると、12月の英住宅価格指数は前月比1.1%、前年比では1.7%上昇した。多くのアナリストは英住宅価格が2024年に下落すると予想しているが、賃金上昇、インフレの低下、住宅ローン金利の低下、選挙をにらんだ住宅市場支援策が講じられるとの観測などを踏まえれば、2024年に住宅価格は上昇が予想されるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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