為替相場まとめ7月31日から8月4日の週
31日からの週は、ドル高が進行した。7月中旬からのドル高傾向が続いている。ただ、この週のドル高はリスク回避的な背景があった。格付け会社フィッチが米国の格付けを一段階引き下げたことで、米債が売られ(利回りは上昇)、世界的に株式市場に調整圧力が広がった。米債利回り上昇が金利面からドルを下支えし、株安がリスク警戒面からドル買いや円買いを誘った。ドル円はYCC柔軟化後に、長期債利回りが上昇する局面で臨時オペを実施している。ドル円は144円手前まで上昇する場面があった。しかし、世界的な株安の動きに142円付近まで下押しされるなど総じて上昇一服。リスク動向に敏感な豪ドル/ドルは0.67台から0.65台へと下落。ポンドドルは英金融政策委員会(MPC)での利上げ幅が25bpにとどまったことで、一部に50bpを予想していた向きの失望売りを誘った。市場のターミナルレート予想は低下し、ポンドドルは1.28台から1.26台まで一時下落。ユーロドルは1.10台から1.09台へと水準を下げた。ドル買いに押されつつも、対ポンドでは買われており、下落幅は限定的だった。ただ、週末の米雇用統計でが雇用増が市場予想を下回り、ドルが売り戻されて週の取引を終えた。ドル円は141円台半ばまで一段と下げた。
(31日)
東京市場は、円売りが強まった。先週末の日銀金融政策決定会合でYCC柔軟化が打ち出されたことで海外市場で円が売られた。ドル円は138円台から141円台まで3円幅で乱高下したあと、141.10台まで上昇して取引を終えていた。週明けは調整が入り140.70付近まで反落。円債利回りの上昇が円の買い戻しにつながった。しかし、日銀は臨時オペを実施。緩和継続をアピールしたことで一気に円売りが強まった。141.95近辺まで買われている。ユーロ円は155.11近辺まで下押しされたあと156.28近辺まで上昇。ポンド円も180.80台から182.40台まで上昇した。対円での動きが中心となり、対ドルでは落ち着いた動き。ユーロドルはやや上値が重く、朝の1.1030台から1.1005近辺へと小安い。先週末米PCEデフレータの鈍い伸びを受けたドル売りに上昇したが、週明けは調整が入った形。
ロンドン市場では、円安とともにドル安の動きが優勢。円安は東京午前に日銀が臨時オペを通知し、長期金利の上昇を抑え込んだことが背景。先週末に日銀がYCC柔軟化を打ち出したあとは、円買いよりもむしろ円安が進行しており、週明けもその流れが継続している。ドル円はロンドン朝方に142円台に乗せると、その後も買われて142.50近辺まで高値を伸ばした。クロス円も堅調。ユーロ円は156円付近から157円台乗せ、ポンド円は182円付近から183円台乗せ、豪ドル円は95円台乗せから85.50付近にそれぞれ高値を更新している。序盤に売りが先行した欧州株や米株先物も下げ渋りからプラス圏を回復とリスク選好の動き。中国が不動産支援に加えて消費回復にも意欲を見せたことが好感されているもよう。豪ドル買いの勢いが目立っている。欧州通貨ではユーロ買い・ポンド売りの動きもみられている。ユーロドルが1.10台前半で高値を1.1040付近に伸ばす一方で、ポンドドルは1.2830台から1.2860台での振幅にとどまっている。この日発表されたユーロ圏第2四半期GDPが前期比+0.3%と回復したことや、同7月消費者物価速報でコア前年比が+5.5%と低下予想に反して前回並み高水準にとどまったことなどが材料視されたようだ。
NY市場で、ドル円は伸び悩むも142円台で推移。NY時間に入って一時142.70付近まで一段高。その後は142円台に高止まりしている。週明けになってドル円は更に上げ幅を広げる格好となっているが、日銀が金融緩和修正の方向に本格的に舵を切ったとしても、米欧との金利差は相当程度あり、調達通貨としての円の魅力は当面続くとの見方もあるようだ。また、日銀がYCC修正に踏み切ったのは中途半端な試みで、非常に不可解な動きだったとの指摘も聞かれる。YCCの方針は維持され、目途としての上下0.5%は維持された。ただ、上限は最大1.0%まで動く目標になったという。ユーロドルは伸びを欠き、取引終盤には1.09台に値を落とした。市場は先週のECB理事会を受けて、9月の利上げは見送られるとの見方を固めており、第3四半期以降の景気減速への警戒感も強まる中、この先の数字を確認したい意向が強いもよう。ポンドドルは方向感がなく、1.28台での振幅。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)の発表が控えており、ポンドに関しては、その結果待ちの雰囲気が強い。
(1日)
東京市場は、円売りが優勢。ドル円は142円台前半で取引を開始、午前中に142.79近辺まで買われて前日高値を更新。主要金融関係閣僚が相次いでYCC修正について金融緩和の持続性を高めるものという認識を示したことや、日経平均の堅調な動きを受けたリスク選好の動きなどが下支えとなった。午後には。日本10年国債の入札で最高落札利回りが0.603%と2014年6月以来の高水準となったが円買いは目立たず、日経平均がさらに上昇する中で142.84近辺まで一段高となった。ユーロ円は157円手前まで上昇。ユーロドルはやや上値が重く1.0980付近に軟化、1.10付近が重くなっていた。豪中銀は政策金利を2回連続で据え置いた。市場ではやや利上げ観測が優勢だったことから、豪ドル売りの反応。対円では95円台半ばから一時95.08近辺まで下落。
ロンドン市場では、ドル買いが優勢。豪ドル/ドルの下げが主導している。この日の豪中銀理事会で政策金利が2回連続で据え置かれたことが豪ドル売りを誘った。事前の見通しは25bp利上げ観測がやや優勢も、据え置き観測もあり見方が分かれていた。また、午前に発表された中国財新PMIが50割れとなったことも重石だった。東京時間に0.67台割れとなったあと、ロンドン時間には0.6620台まで下押しされている。この動きとともにNZドルやカナダドルなど景気敏感な面のある通貨も下落し、ドル買いにつながった。ユーロドルは1.10付近が重くなると1.0960台まで軟化。ポンドドルはしばらく1.28台前半で揉み合っていたが、足元では1.2790付近へ下押しされている。英欧製造業PMI確報値はいずれも50割れとなり、製造業の景況感の弱さが示された。ドイツ雇用統計の改善には目立った反応はみられなかった。ドル円は東京市場で142円台前半から後半へと買われたあとは高止まり状態。足元では高値を142.93近辺に小幅更新している。一連の米企業決算を受けて米株先物が下げ渋りとなっており、やや円安で反応した面も指摘される。
NY市場で、ドル円は143円台を回復。全体的にドル高の流れが続いたことに加えて、前日には日銀の臨時オペもあり、YCC柔軟化後も円金利が抑制的に推移していることもドル円を下支えした。この日発表の米経済指標は予想を下回る弱い内容となったものの、ドルは堅調な推移を持続している。インフレの鈍化、FRBの利上げサイクル終了、そして、景気後退は回避され、米経済のソフトランディングへの期待が市場に広がっている。景気の行方に為替市場の焦点がシフトすれば、シナリオはドル高との見方は根強い。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.09台半ばまで下落した。ただ、この日発表された6月ユーロ圏失業率が低下するなど雇用の強さがECBの追加利上げ観測につながる面も指摘された。ポンドドルは下げ幅を拡大し1.27台半ばまで下落した。強いサポートの観測されていた1.28の水準を下回ったことで、先週に見られた反転の兆しは一旦完全に消滅している。英中銀は今週の英中銀金融政策委員会(MPC)で利上げを実施すると広く予想されている。ただ、当初期待されていた大幅利上げの可能性は後退させており、25bpの通常の利上げに留めるとの見方が有力視されている。
(2日)
東京市場では、午後に円買いが強まった。ドル円は前日海外市場で143.55近辺まで買われた。東京早朝は143.30前後で取引されていたところ、格付け会社フィッチが米国の格下げを発表、売りが急速に植われて142.75近辺まで下落した。格付けはAAAからAA+に一段階引き下げられ、見通しは安定的とした。その後、再び143.30台まで買い戻された。今回の格下げでの機関投資家などの投資状況への影響はそれほどないという見方や、格下げ後に米債利回りが若干低下(米債券価格が上昇)し、市場もこの格下げを深刻にとらえていないとの思惑がドル買い円売りを誘った。しかし、午後には再び142.60台まで下落、安値を広げた。日経平均が後場に840円超安と一段と下落し、リスク警戒の円買いにつながった。日銀の定例オペが増額されなかったことで10年債利回りが直近で最も高い0.62%台を付けたことも円買いに。リスク警戒の動きはアジア全般に広がっており、日経平均だけでなく香港、韓国などの市場での株安が見られた。中国株に関しては景気支援策を好感も、未成年のスマホ規制を発表したことでハイテク株に売りが出ていた。豪ドル円は午前の94.80台から94円ちょうど前後へ値を落とした。
ロンドン市場では、リスク回避の円買いが先行。昨日のNY終盤にフィッチが米格下げを発表したことがきっかけだった。東京市場からの株安・円高の流れを受けてロンドン序盤にはドル円は142.24近辺まで安値を広げた。しかし、欧州株や米株先物・時間外取引が下げ一服となったことで142.70台へと下げ渋っている。ユーロ円も156円前半から後半へ、ポンド円は一時182円台割れから182円台半ばへと反発。ただ、東京市場からの円買いを戻すには至らず、欧州株なども引き続きマイナス圏を脱していない。円相場の振幅を横目にドル相場自体は大きな動きを示していない。ユーロドルは1.09台後半でやや上値重く推移。あすに英政策金利発表を控えるポンドドルは1.27台後半で売買が交錯している。このあとのNY市場では米ADP雇用統計が発表される。結果を見極めたいとの短期ポジション調整も入っているようだ。
NY市場で、ドル円は143円台に戻した。東京からロンドン時間にかけては円高がドル円を押し下げていた。株式市場が売りに押され、リスク回避の円高が広がっていた。ただ、NY時間に入ると、米ADP雇用統計が強い内容となったことでドル高がドル円を下支えしている。金曜日の米雇用統計が強い内容になるのではとの見方も出ている。ただ、両指標は必ずしも方向が一致するわけではない点は留意されたい。また、今回の米国の格下げは長期的に米国の一流の地位を損なうものではなく、影響は一時的との声も多い。株式市場については、ソフトランディングへの期待で楽観的になっていた半面、急ピッチな上昇で高値警戒感も出ていた。「今回の米国の格付下げは、ちょうど良い利益確定売りの口実を与えた」との指摘も。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.0920付近まで下落。9月ECB理事会での利上げ織り込みは30%程度に低下している。ポンドドルは一時1.26台に下落。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表され、ポンドにとっては最注目となる。市場は一時期高まっていた50bpの大幅利上げの可能性を後退させており、25bpの通常利上げを有力視している。
(3日)
東京市場では、円売りが優勢。ドル円は午前の揉み合いを経て、午後には7月7日以来、約1カ月ぶりの高値となる143.89近辺まで買われた。日銀が臨時オペを通知し、金利上昇を抑える姿勢を示したことが支えとなった。その後は143円台半ばまで押し戻されている。日本10年債利回りは0.65%台から0.63%まで上げ幅を縮小したあと、再び0.64%台に乗せた。ユーロドルは、午後に1.0919付近まで弱含んだあと、下げを帳消しにしている。ユーロ円は、ドル円同様に午後に157.23付近まで上昇したあと、伸び悩んでいる。
ロンドン市場では、リスク回避の円買いに押される展開。フィッチの米格下げの影響が続いており、米債が売られる(利回り上昇)とともに欧州株や米株先物が続落している。ドル円は東京午後の上昇を打ち消すと、安値を142.76近辺まで広げている。クロス円も総崩れ、ユーロ円は157円台乗せから156円台割れまで下落。英中銀政策金利発表を控えたポンド円は売り圧力がさらに強く、182.70台から180円台後半へと下落、さらに英中銀が25bp利上げと大方の予想通りとなり、一部の50bp利上げ派の売りを誘った。ただ、事前に売られていたこともあって180.45近辺まで下げたあとは181円付近へと下げ渋っている。ベイリー英中銀総裁はインフレは年内を通じて低下する公算大とこれまでの認識を繰り返した。ドル相場はドル買いが優勢。ポンドドルが1.27台割れから1.2620付近まで下げたほか、ユーロドルは一時1.0912近辺まで小幅に下げた。ただ、ドル円の下げがドル高にブレーキをかけて、ドル指数の上昇は小幅にとどまった。ドル指数は引き続き7月7日以来のドル高水準となっている。
NY市場では、ドル買いが一服。ドル円は東京時間に143円台後半まで上昇したが、NY時間に入ってからは一時142円台前半まで下落。米国債利回り上昇と世界的な株安を背景に、リスク回避からドルは堅調に推移していた。ただ、明日の米雇用統計を前に投資家は警戒感を強め、ドルロングのポジション調整を出していた可能性もありそうだ。ユーロドルは1.09台半ばまで買い戻された。市場はECBの9月利上げの可能性を後退させてはいるものの、それへの言及も根強くある状況。ECBがコアインフレに重点を置いていることが、その大きな背景にあるようだ。きょうはドイツの6月の貿易収支が発表になっていたが、この結果を受けて市場からは、「ドイツの輸出は経済を牽引していない」との指摘がでていた。最近発表されたデータは追加利上げが必要であることをほとんど示唆していない。金利がすでにターミナルレート(最終到達点)に達している可能性も。ポンドドルは一時1.27台まで買い戻され、ロンドン時間の下げを完全に取り戻した。英中銀は予想通りに25bpの利上げを実施し、政策金利を5.25%に引き上げた。声明では「インフレが持続すれば金利は上昇する可能性」との文言を維持し、追加利上げの可能性に含みを持たせている。ただ、経済の回復力も監視していることを示す一行を追加したほか、現在の政策が「制限的」とみられていることも新しく加えた。短期金融市場ではターミナルレート(最終到達点)の予想が低下し、現在は5.75%で利上げ終了との見方。一部で注目されていた量的引締め(QT)のぺース拡大については、10月以降の保有国債の売却を来月に決定すると述べていた。
(4日)
東京市場は、米雇用統計を控えて小幅の振幅にとどまっている。ドル円は午前の取引で142.88近辺に高値を伸ばした。米雇用統計を控えて前日海外市場での下落に調整が入ったほか、仲値に絡んだ本邦輸入業者からのドル買い・円売り注文が入ったこともドル円の上昇につながった。しかし、仲値公示後は売りが優勢となり142.32近辺まで下落。米債利回りの上昇一服が上値を抑えた。ユーロドルは1.0950を挟んでの小動き。米雇用統計を前に様子見ムード。豪ドルは、中国による豪州産大麦関税の撤廃報道で一時上昇も、その後動きが落ち着いた。
ロンドン市場では、ドル買いの動きが優勢。ドル円は東京午前に142.90付近まで買われたあとは売りの流れとなり、一時142.30付近まで下押しされた。その後は142円台半ばから前半で揉み合ったが、ロンドン時間に入ると米債利回りの上昇とともに142.80付近へと再び上昇している。欧州株や米株先物は小反発したこともドル円の下支えとなっていた。ただ、これまでのところ東京レンジ内での取引とドル買いは調整の範疇にとどまっている。米雇用統計の結果を見極めたいとして一方向への値動きは続かず。ユーロドルは1.0960付近から1.0935近辺へとじり安。前日NY終盤から東京午前にかけての上昇を戻している。ECBは基調インフレが今年前半にピークに達した可能性が高いと指摘、レーンECBチーフエコノミストはインフレは年後半に大幅に低下するとした。9月理事会で政策金利を据え置く可能性がでているが、ユーロ単体での売りの動きは特段みられていない。ポンドドルは1.2740付近の高値を東京市場でつけたあとはじり安となり、1.27台割れ水準へと軟化。ロンドン時間は安値付近での揉み合いと動意薄。対ユーロではややポンド売り。ユーロ円は156円台前半、ポンド円は181円台前半での揉み合いと方向性に欠けている。
NY市場はドル売りが強まり、ドル円は141円台に下落。一時141.55付近まで下落。この日発表になった米雇用統計を受けて売りが強まった。非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ったことで、雇用ひっ迫への懸念は後退。しかし、失業率は前回から低下し、平均時給も前年比で4.4%と予想を上回り、高い水準が続いていることから、市場が期待しているFRBの利上げサイクル終了を正当化するまでの内容ではない。短期金融市場でも見方に大きな変化は出てない。ただ、今週発表の雇用指標が強かったことから、米雇用統計も強い内容になるのではとの見方も高まっていただけに、その意味では安心感も広がっていたようだ。
執筆者 : MINKABU PRESS
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