米PCEデフレータ受けドル買い加速 ドル円は136円台半ばまで上げ幅拡大=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが加速し、ドル円は136円台半ばまで上げ幅を拡大した。朝方に1月分の米PCEデフレータが発表され、予想を上回るインフレの強さを示した。FRBのタカ派姿勢を裏付ける内容で、為替市場ではドル買いが加速している。PCEデフレータはFRBがインフレ指標として参照。
総合指数は前月比0.6%上昇し、6月以来の高水準となり、食品とエネルギーを除いたコア指数も前月比で0.6%上昇した。市場は今後3回のFOMCで0.25%ポイントずつ利上げを行うとの見方を強めている。ターミナルレート(最終到達点)の予想も上昇。
今月発表の1月分のデータを経て、昨年末から年初にかけて市場に広がっていたハト派な雰囲気はほぼ消滅している格好。
ドル円はきょうの上げで、節目の135円から上放れする展開を見せている。目先は137円台前半に200日線と100日線が来ているが、その水準を試に行くか注目される展開となっている。
なお、東京時間に植田次期日銀総裁候補の所信聴取を受けて134円台前半まで下落する場面が見られた。ただ、一時的な動きに留まっている。植田氏が「2%インフレの実現が見通せれば、正常化に踏み出すことできる。基調インフレの見通しが改善すればイールドカーブコントロール(YCC)の正常化を考えざるを得ない」などと述べたことに市場が過敏に反応していたようだ。
ユーロドルも戻り売りを強め、一時1.0535ドル付近まで下落する場面も見られた。来週は3月2日に2月分のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値の発表が予定されている。一部からは、ユーロ圏のインフレが鈍化した場合、ユーロは売りで敏感に反応する可能性があるとの指摘が出ている。現時点で総合指数が前年比8.2%、コア指数は5.3%が見込まれている。
市場ではECBは3月の0.50%ポイントの大幅利上げのほか、5月も0.50%の利上げの可能性が指摘されている。ただ、市場もタカ派なECBをかなり織り込んでおり、むしろ、FRBのタカ派サプライズのほうがユーロドルに与えるインパクトが大きいとの指摘も聞かれる。
ポンドドルは一時1.1930ドル近辺まで下落する場面が見られた。100日線と200日線がその付近に来ており、顔合わせした格好。来週以降、その水準をブレイクして行くか注目される。
3月の英中銀金融政策委員会(MPC)を巡って市場から、ハト派な見方が伝わっている。市場コンセンサスでは、英中銀は4.50%をやや上回る水準で利上げサイクルのターミナルレート(最終到達点)を迎えると予想されている。しかし、恐らく既に政策金利はピークに達しているという。
英経済の軟化により、英中銀は3月のMPCで政策金利を据え置く可能性があるとの指摘も出ている。企業活動や雇用データの一部に経済の弱さがうかがえ、それは今後、賃金上昇に下方圧力を与え始めるという。そのような中で英中銀は現行の水準で利上げを一旦停止し、年末に政策金利を3.50%向けて反転させると考えているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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