米雇用統計を受け上下動もドルは買い戻し優勢に ドル円は107円台半ばで膠着=NY為替概況
きょうのNY為替市場は米雇用統計を受けて目まぐるしい値動きが見られたものの、ドルは買い戻しが優勢となった。ユーロドルやポンドドルは戻り売りに押された一方、ドル円はドル売り・円売りの中で107円台半ばで膠着。
この日発表の米雇用統計が予想以上に強い内容となったことで、発表直後の為替市場は素直にドル買いの反応が見られた。その後、米株が大幅高で始まったこともあり、動きが一巡したあとは、今度はリスク選好のドル売りが出ている。しかし、フロリダ州の新規感染者が6.4%増と伝わると、次第にリスク回避のドル買いが強まる展開となっている。米株が伸び悩んでいるほか、米国債利回りや原油も急速に伸び悩み、原油は一時下げに転じた。
米雇用統計は励まされる内容となったものの、感染第2波への警戒感も根強く、市場には慎重さも見られている。ただ、この日の米雇用統計は予想以上に力強い内容となった。非農業部門雇用者数(NFP)は前月比480万人増加し、失業率は前月の13.3%から11.1%に改善した。前日のISM製造業景気指数も景気判断の分岐点である50を上回る強さを示し、足元の米経済指標は急速な改善を示している。
しかし、感染第2波の拡大が加速する中で、指標の改善が今後も続くかどうかに市場は不透明感を感じている模様。また、明日から3連休ということもあり、投資家は様子見姿勢になった面もありそうだ。連休中に更に感染が拡大するリスクも警戒されている。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りに押され1.12ドル台前半に下落。ロンドン時間に一時1.13ドル台を回復する場面もみられたものの、NY時間に入って上値を重くしている。21日線が1.1270ドル近辺に来ており、一旦上回っていたものの、NY時間に入って再び下回っている。ただ、1.12ドル台が維持されており、上向きのトレンドは続いているようだ。目先は1.12ドル台を維持できるか注目される。
ユーロを巡っては復興基金の動向が注目されているが、一部からはEU首脳が承認したとしても、ユーロの上昇は短期的に終わる可能性が高いとの見方も聞かれる。今月17、18日にEU首脳会談が予定されているが、市場は過度に織り込み過ぎている面もあり、むしろ、詳細や実施計画の点でユーロの失望売りを招く可能性も留意されることから、上昇局面では戻り売りが推奨されているようだ。
ポンドドルもNY時間に入って戻り売りに押され、東京時間につけた本日安値の1.2460ドル付近に下落。きょうは1.25ドル台を一時回復し、1.2520ドル付近の21日線に顔合わせする場面もみられた。ただ、現在は100日線付近に押し戻されている。
今週からEUとの貿易交渉が再開しているが、予定より1日早く打ち切っている。バルニエEU首席交渉官からは「深刻な隔たりが依然存在している」とのコメントが発せられ、予想通り交渉は難航しているようだ。貿易交渉について市場からは、この先も難航が予想されるものの、10月の期限ぎりぎりまでには合意できるとの声も出ている。しかし、その場合、ポンドは短期的にはポジティブな反応を示すかもしれないが、安定的なポンド買いにはつながらないとも指摘している。短期間で達成された合意は、包括的というよりも必要最低限のものである可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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