英議会は否決 ただ、ポンドは買い戻し強まる ドラギ発言でユーロが下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場は、欧州通貨の売りが優勢となり、相対的にドルが買い戻される展開が見られた。ドラギECB総裁が欧州議会で「最近の経済は予想上に弱い。大規模な刺激策が依然として必要」と述べ、ユーロへの売りが強まった格好。
NY時間の終盤になって英下院でメイ首相のEU離脱案への投票が実施されたが、大方の予想通り否決された。432対202と歴史的大差での否決。ただ、ポンドは買い戻しが強まった。メイ首相はEU離脱を巡り超党派の協議を今週開始すると伝わっており、ポンドの買い戻しを強めた模様。噂で売って、事実で買う展開。
ドル円は一時108円台後半に上昇するなど底堅さを堅持している。一方で109円に近づくと売りオーダーも観測され、強い上値抵抗が形成されている模様。下向き圧力は根強いものの、株式市場が底堅く推移していることから、かろうじて下値は支えられている状況に変化はない。
一方、ドラギ発言を受けてユーロ売りが強まり、ユーロドルは一時1.13ドル台に下落。ロンドン時間にドイツの2018年のGDPが伝わっていたが、成長率は前年比1.5%と5年ぶりの低成長となっていた。世界的な需要低迷と自動車産業の大きな混乱が響いたようだ。
ドイツ統計局は第4四半期は若干のプラス成長に留まったと言及。第3四半期がマイナス成長だったことから市場では、2四半期連続のマイナス成長であるテクニカル的な景気後退が警戒されていたが、それは回避された模様。第4四半期の具体的な数字は2月14日に速報値が発表される予定。連邦統計局はドイツ経済が景気後退に陥ったかどうかを翌日の15日午前に明らかにする可能性がある。
ポンドも投票前までは売りが優勢となり、ポンドドルは1.26ドル台まで下落し、21日線を割り込む場面も見られた。しかし、英下院での投票後に1.28ドル台後半まで急速に戻している。
今後のシナリオはいくつか想定されているが、合意なき離脱はポンド安と見られている。一方で可能性は小さいように思われるが、2回目の国民投票はEU離脱が無くなる可能性もありポンド高のシナリオ。そして、最も可能性が高そうなのが3月末の離脱期限を延長し、EUと交渉を続け、より柔軟なアプローチを取るというもの。この場合もポンド高のシナリオと見られている。
投票直後に野党からはメイ政権の内閣不信任案が提出されているが、現在の情勢から見て、与党保守党とアイルランドのDUPが総選挙に勝てる保証はなく、否決に回るものと思われる。メイ首相が解散して総選挙というシナリオは可能性が低そうだ。信任投票は明日の英国時間午後7時に実施される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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